2012 Fiscal Year Research-status Report
癌性膵液特異的抗体の認識抗原の機能解析と高感度検出法の確立
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23590698
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中島 学 福岡大学, 薬学部, 教授 (50198074)
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Keywords | 腫瘍検査学 / 単クローン抗体 |
Research Abstract |
本年度作製したcDNA Library(合計25万)とL-cellを用いてexpression cloningを試みた。20回のFACSを用いたプラスミド濃縮を行ったが、目的のcDNAの濃縮には至らなかった。他方の、抗原の精製に関しては、アフィニティカラムによる免疫沈降後、ウエスタンブロティング、およびSDS-PAGE後の銀染色にて目的バンドの検出と特定を試みるとともに、現在、LC/MS/MS(外注)用のバンドの切り出しを遂行した。実験の遂行状況としては、やや遅れていると思われる。24年度は、expression cloning、培養上清からの目的物質の精製準備作業に集中していたため、学会発表用のデータ準備は行えなかった。ただし、① 2P-1-2抗体に関して、英国ケンブリッジ大学より研究協力者である久留米大学・病理学教室(矢野教授ら)に2P-1-2抗体の病理診断への応用研究に関する共同研究依頼があり、現在計画中である。 ② Tnをエピトープとする6P-3-2抗体を用いて、細胞溶解液より抗原分子の精製が進行している。③ 2P-1-17抗体の認識抗原が sialyl-lewis a であることを合成抗原を用いたELISAにて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度後半において、本年度作製したcDNA Library(合計25万)によるexpression cloningを主体として、FACSにて20回の濃縮操作を試みたが、cDNA Library size が4回のcDNA作製で合計25万程度で、1回の操作によるLibrary sizeが小さすぎたのが原因と思われた。また、抗原の精製に関しては、培養上清約2Lからの濃縮では、アフィニティカラムによる免疫沈降後の目的分子の濃度が低く、ウエスタンブロティング、およびSDS-PAGE後の銀染色にて目的バンドの検出と特定は可能であったが、LC/MS/MS(外注)用のバンドの切り出しには不十分な量であったことが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、24年度前半までに作製したcDNA Library(合計25万)によるexpression cloningを中心に、FACSにて20回の濃縮操作にて目的分子のcDNA単離を試みたが、成功には至らなかった。また、この間は蛋白分子のアフィニティー精製に関しては、これまでの精製方法による調整試料が、LC/MS/MSへの試料として利用できるかを量的、質的に検討をおこなったため、予定の研究消耗品の購入が停止した状態となった。このため、cDNA全長単離および抗原のアフィニティー精製準備費用としての約50万円の未使用額が発生した。また、LC/MS/MSへの対象試料が3種類の抗体認識抗原となったため、年度内はこれらの試料準備期間とし、未使用額分を次年度(25年度)のLC/MS/MS解析費用に繰り越すこととした。 25年度の予定としては、cDNA Library の作製は中止し、蛋白分子の精製からのLC/MS/MSによる同定に専念することとした。現在、対象抗体は3種類(2P-1-2、2P-1-17および6P-3-2)あり、2P-1-2抗体は培養上清、2P-1-17および6P-3-2では細胞溶解液から、それぞれの認識抗原をゲル濾過にて抗原の粗精製液を調整し、アフィニティーカラム、SDS-PAGEにて精製後、LC/MS/MS(外注)による解析を行い候補蛋白分子を選定する方策とした。なお今年度より、新規助教(西中川君)と新規助手(秀島女史)の研究協力を得ることとなり、研究遂行がさらに効率良くできることが予想される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①充分量の濃縮培養上清を10L(AIM-V培地:1L、単価1万円)の無血清培地より作製および1億個程度の細胞(15cmディシュ 約50枚、完全培地 5~10L)より NP-40、Triton X-100をベースとした細胞溶解液を用いて、150 ml程度を準備する。費用12万円、②各試料をSuperdex S-200 Prep-Gradeカラムにて分子量サイズ分画後、ELISA法にて各抗原含有画分を同定し、各抗原含有画分を遠心式限外ろ過膜にて濃縮する。費用12万円、③抗体固相化ビーズ(3種類の抗体の精製が必要)にてアフィニティー精製後、溶出蛋白をSDS-PAGEまたは2次元電気泳動法にて目的分子を分離する。費用15万円、④LC/MS/MS解析にて、目的候補分子をの同定を行う。(外注)。試料3種類:計27万x3=81万円、⑤2P-1-2抗体認識抗原に対する新規抗体作製:精製抗原を用いて作製を試みる。費用5万円、⑥学会旅費:10万円、⑦論文掲載用費用:10万円、総計:140万円(90万+繰り越し分約50万円)
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