2013 Fiscal Year Research-status Report
癌性膵液特異的抗体の認識抗原の機能解析と高感度検出法の確立
Project/Area Number |
23590698
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中島 学 福岡大学, 薬学部, 教授 (50198074)
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Keywords | 腫瘍検査学 / 単クローン抗体 / 膵癌 |
Research Abstract |
本研究は慢性炎症性膵液と細胞診陽性癌性膵液を、それぞれ寛容原、免疫原として用いてマウスより、2種類の膵癌膵液特異的モノクローナル抗体(2P-1-2-1, 2P-1-17-1)を樹立し、その臨床的有用性を報告してきた(Int. J. Mol. Med. 28. 599-603. 2011.、 J. Clin. Patholo. 65. 327-332.2012)。さらに、これらの抗体の臨床診断的応用を目的として、同一抗原分子上の異なるエピトープを認識する単クローン抗体を作製し、高感度検出法の確立を計画した。以上の目的のために、2つの異なる方法 ①免疫沈降法による精製認識分子のLC/MS/MS解析、および②抗原陽性細胞より哺乳類発現ベクターを用いたcDNAライブラリーより、FACSソーターを用いたExpression Cloning法による該当するcDNA遺伝子の単離を試みた。さらに、2P-1-17-1抗体に関してはSDS-PAGEによる抗原解析において、認識分子が高分子量でかつ幅広い反応性のバンドより認識抗原エピトープとして糖鎖抗原の可能性を見いだした。25年度の実験とその結果を示す。 ①2P-1-17-1抗体の認識エピトープは、各種の癌関連性のある合成糖鎖抗原を用いた検討の結果、シアリル化ルイス-aであることを確定した。 ②これまでに作製されたcDNAライブラリーより、Expression Cloning(15回のFACSソート)による遺伝子濃縮を試みたが、遺伝子の同定には至っていない。 ③免疫沈降法による抗原分子の分離とLC/MS/MS解析による同定を両抗体を用いて試みた。結果としては、2P-1-2-1抗体:解析に必要な分子量が得られず解析不能。2P-1-17-1抗体:不純物の混入が多く、的確なデータ解析結果が得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①抗原遺伝子の単離と同定:これまでに5回作製された抗原陽性細胞由来の各cDNAライブラリーのサイズが小さく、全て合わせても必要なライブラリーサイズには到達しなかった。1回の作製でライブラリーサイズとして50万以上のcDNAライブラリーを作製する必要がある。 ②LC/MS/MS解析による抗原分子の同定:解析用の抗原量が不十分であったことと、抗原分子の精製度が低かったため、適切な解析結果が得られなかった。抗原精製用の抗原含有材料をさらに大量より行うことと、精製過程において複数の手法を組み合わせることで精製度を上げる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
①免疫沈降用試料の再調整とFPLCと免疫沈降法を組み合わせることで、認識抗原の精製度を上げて、LC/MS/MSによる解析と同定を試みる。 ②抗原陽性細胞株よりcDNAライブラリーを1回の操作で50万以上のサイズのライブラリーを作製する。 ③LC/MS/MS解析結果と作製されたcDNAライブラリーより、当該遺伝子の全長cDNAの単離する。 ④発現クローニング法による遺伝子濃縮を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度において、2P-1-2-1抗体および24~25年度にかけて認識抗原エピトープとしてシアル化ルイスaと同定された2P-1-17-1抗体の双方の分子の同定を免疫沈降法を用いてSDS-PAGEにてバンドとして切り出した後、LC/MS/MSでの解析試料を調整を行った。その結果、2P-1-2-1抗体による免疫沈降分子の量的不足により解析不能であった。また、2P-1-17-1抗体認識抗原に関しては、夾雑物質のため同定不能であった。このため試料のLC/MS/MS解析費の一部と同定後の抗原分子の全長cDNA単離費用が未使用額として発生した。 免疫沈降用試料の再準備と抗体認識分子の免疫沈降法を用いた精製を行い、LC/MS/MSでの解析にて認識抗原の同定と遺伝子単離をおこなう。また、抗原陽性細胞株よりcDNAライブラリーの作製を試み、LC/MS/MS解析結果を利用した遺伝子単離およびFACSソーターを用いたExpression Cloningによる遺伝子単離実験に使用する計画である。
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