2011 Fiscal Year Research-status Report
メタボリック症候群の発症と減量治療抵抗性に関連する新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
23590704
|
Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
宮永 史子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (80378760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長 (80373512)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | メタボリック症候群 / 遺伝子 / インスリン感受性 / 肥満 |
Research Abstract |
一般住民コホートと肥満症コホート集団において症例対照前向き研究を行い、肥満症・メタボリック症候群(MetS)の減量効果・治療抵抗性を規定する候補遺伝子を同定する事により、個々の遺伝素因に応じた食事・運動・薬物療法の選択(オーダーメイド医療)の確立を目指すことを目的としている。1.申請者施設及び協力施設における肥満症コホート集団を対象に1880例の各評価項目に関するデータベースの構築を行った。2.肥満の遺伝素因(SNPs)の検索:(1)吹田コホート(1次スクリーニング):吹田市一般住民より無作為抽出の1880例を対象に、同意取得者のDNAにて、肥満関連候補遺伝子272遺伝子712SNPsをTaqMan法で網羅的に遺伝子型タイピングを実施した。男女別に5歳年齢階層別に分け、各層のBMIの第1四分位の和集合を対照群、第4四分位の和集合を症例群とし、SNPとの関連性の解析を行った。(2)肥満症コホート(2次スクリーニング):申請者施設における肥満症例(BMI≧25)178例と一般集団393例を対象に、統計的に有意な143遺伝子の217 SNPsについて、タイピングを実施し比較検討した結果、5遺伝子5SNPsが抽出された。このうち、インスリン抵抗性やレプチン抵抗性への関与が示唆されるPTPN1遺伝子について、現在までに肥満症例152例において、肥満における減量治療反応性(体重低下度)との関連を検討している。PTPN1遺伝子SNPは各症例の過去に最大であったBMIとの関連が有意であり、肥満症87例の減量治療3、6、12ヵ月後のBMIは、GG多型ではGT, TT多型より有意に低下していた。また、減量治療12ヵ月後のHbA1cはGG多型ではGT,TT多型より有意な低下を認めた。さらに、減量治療・治療抵抗性に関与する分子バイオマーカーと遺伝素因についても縦断解析を施行している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満・MetSに関連する複数の候補遺伝子について、本症例対照研究の1次スクリーニングで抽出された143遺伝子の217SNPsについて、2次スクリーニングとして、京都医療センターの肥満症例と一般集団でタイピングを終了した。京都医療センターにおいての2次スクリーニングにおいて有意であった5SNPsのうち、インスリン抵抗性とレプチン抵抗性との関連の示唆されるPTP1B遺伝子について、すでに肥満症コホート集団を対象に、遺伝素因に関するデータベースの構築を開始している。肥満症コホートにおける減量治療反応性との関連の検討も進行している。現在の進捗状況について協議の上、今後の方針について協議、提案を行っており、データ収集・管理システムの更なる改善にも、助言・協力を行い、解析の方針についても協議、作業できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.減量治療反応性に対するMetS・心血管病関連ホルモンと各肥満関連SNPsの影響を、肥満症コホートにおいてデータベースの構築を完成させ、短期・長期的に減量効果・治療抵抗性に関与する分子バイオマーカーと遺伝素因を明らかにする。さらにSNP多型別単球機能と肥満度について検討を行う。2.PTP1B遺伝子のメチル化やレプチン受容体遺伝子多型の肥満・減量治療効果との関連解析を行う。3.PTP1BのMetS、炎症、動脈硬化、発癌に関わる影響をin vitroおよび動物レベルにおいて検討する。4.以上より、PTP1B遺伝子を含む肥満関連SNPsと既知のMetSやCVDリスク指標との関係も網羅的に解析を施行し、肥満発症・減量効果予知指標パネルを構築する。肥満・MetSに関与するエピジェネティックな異常を明らかにし、その部位を標的とした診断・治療・創薬などの臨床的応用を目指す。 以上について、得られた結果を取りまとめて、成果の発表を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者らはこれまで、肥満・糖尿病・メタボリック症候群の病態生理やその合併症・心血管リスクに関する研究を基礎的・臨床的に施行してきたため、本研究課題における研究計画の大部分は現所属の研究センター及び分担研究者の実験施設の現有設備で行うことが可能である。よって研究経費の大部分は、ヒト・マウスのホルモン測定のためのELISAキット代や血液検査外注費、試薬類及び実験動物などの消耗品費に充てる。特に、ヒト単球の機能解析の為のMACS/FACSの抗体については、1抗体あたり20万円、real-time PCRの反応には400反応あたり10万円の費用が必要である。細胞培養実験におけるメディウムや分子生物学関連試薬代、遺伝子改変動物を含めた飼育費なども必要とする。
|
Research Products
(3 results)