2014 Fiscal Year Annual Research Report
μオピオイドによる痒みの機序解明とガバペンチンの鎮痒効果
Project/Area Number |
23590711
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
今町 憲貴 島根大学, 医学部, 准教授 (40325048)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄くも膜下腔投与 / 痒み / 鎮痒薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
モルヒネの脊髄くも膜下腔投与は、少量でも強力な鎮痛効果が得られるが、合併症として痒みを引き起こすことがある。ガバペンチンと同様な機序で鎮痛作用が得られるプレガバリンの全身投与によりμオピオイド受容体 (MOR) 作動薬よる痒みが抑制されることが明らかとなってきた。しかし、臨床上、プレガバリンの全身投与によりふらつきなどの副作用が問題となることがある。今回、少量の選択的MOR作動薬とプレガバリンの混合液を脊髄くも膜下腔投与し、プレガバリンが選択的MOR作動薬[D-Ala2, N-MePhe4, Gly-ol]-enkephalin (DAMGO) による痒みと鎮痛効果に及ぼす影響を検討した。C57BL/6系雄マウスを各群4~6匹を用いて以下の実験を行った。実験1:DAMGO 3, 10 pmol、プレガバリン0.016 μmol、DAMGO 10 pmol + プレガバリン0.016 μmol、または、生理食塩液 5μlをi.t.投与後30分間ビデオ撮影し、総引っ掻回数を解析した。実験2: DAMGO10 pmol、プレガバリン0.016 μmol、DAMGO10 pmol+プレガバリン0.016 μmol、生理食塩液 5µlを脊髄くも膜下腔投与前、投与後60分間、マウスの尾を48℃の温水につけ反応までの潜時を測定した。(実験1) 生理食塩液群と比較してDAMGO群は用量依存性に有意に引っ掻き回数が増加したが、DAMGO+プレガバリン群では引っ掻き回数は増加しなかった。プレガバリン群は引っ掻き行動を誘発しなかった。(実験2) 生理食塩液群と比較し、DAMGO単独群では潜時が有意に延長した。また、混合群では生理食塩液群、DAMGO単独群と比較し、潜時が有意に延長した。プレガバリン群は潜時が延長しなかった。以上のことから脊髄レベルにおいてプレガバリンは、DAMGOによる痒みを抑制し、鎮痛効果を増強させたため、鎮痛薬としてのみならず鎮痒薬としても有用であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)