2013 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄における神経障害性疼痛の発症機構の解明とその特異的治療法の開発
Project/Area Number |
23590718
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 千寿子 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (90296020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30075816)
溝口 広一 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (30360069)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 脊髄 / 疼痛伝達物質 / 受容体 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
本研究課題は、神経障害性疼痛の発現機構を明らかにし、その有効な治療法の確立を目的としている。昨年度までに、神経障害性疼痛モデルとして、坐骨神経部分結紮モデルであるSeltzer(PSN)モデルを用いて、神経障害性疼痛における末梢性TRPV1受容体の関与および脊髄内疼痛伝達物質の分布的変化について検討を行ってきた。本年度は、末梢性NMDA受容体の関与について検討を加えるとともに、神経障害性疼痛下における脊髄疼痛伝達物質の遊離量および発現量の変化について検討を行った。その結果、PSNモデル群へNMDA受容体拮抗薬を投与することにより、一過性のアロディニアの回復が認められたことから、アロディニアの形成過程に末梢性NMDA受容体の活性化が関与することが示唆された。さらに、神経障害性疼痛下における脊髄内興奮性アミノ酸遊離量の変化についてはマイクロダイアリシス法により、脊髄内タキキニン類の変化については、前駆体ペプチドのmRNA発現量をRT-PCR法を用いて定量を行った結果、アロディニアの形成段階において脊髄内各種興奮性アミノ酸の遊離および各種タキキニン類の発現に相違が認められた。すなわち、アロディニア発現の時間経過とともに各種脊髄内疼痛伝達物質の遊離量や発現量にそれぞれ固有の変化が認められたとこから、アロディニアの発現には複数の疼痛伝達物質がそれぞれ異なった役割を果たしていることが示唆された。これらの結果は、本研究課題の目的である脊髄疼痛伝達機構の解明ならびに神経障害性疼痛の発現機構の解明に大きな意義をもつことから、今後の研究計画の進展に役立つものと期待される。
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