2013 Fiscal Year Annual Research Report
ノシスタチン結合タンパク質標的分子TRPV6の品質管理に基づく疼痛制御の解明
Project/Area Number |
23590726
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
芦高 恵美子 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50291802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Keywords | ノシスタチン / 痛覚 / ノシスタチン結合タンパク質 / TRPV6 / HSP60 |
Research Abstract |
申請者らは、痛覚制御ペプチドとしてノシスタチンを発見し、その結合分子としてノシスタチン結合タンパク質(Nocistatin binding protein 1, NSP1)を同定した。NSP1遺伝子欠損マウスの作製により、NSP1の疼痛制御への関与を認めた。一方、NSP1はTransient receptor potential V6 (TRPV6)と複合体を形成し、その細胞内へのCa2+透過性を抑制した。さらに、NSP1結合分子として分子シャペロンHSP60を同定した。本研究では、TRPV6、NSP1、HSP60 による(1)機能的相互作用、(2)タンパク質の品質管理、(3)疼痛制御への関与に焦点をあて、膜タンパク質の品質管理に基づく疼痛制御機構を解明する。本年度は、細胞培養発現系におけるTRPV6の品質管理に対するNSP1とHSP60の相互作用の影響、相互作用の特異性、疼痛との関連に焦点を絞り以下の知見を得た。 1. Cos7細胞においてTRPV6とNSP1の共発現細胞系では、NSP1はTRPV6の細胞膜への移行を抑制したが、HSP60の発現では有意な変化なかった。 2. 他のTRPVファミリー分子との相互作用を解析した結果、NSP1はTRPV6の他にTRPV2と相互作用することを見いだした。結合ドメインを解析したところ、TRPV2およびTRPV6ともにN末端細胞内領域とNSP1のN末端領域が相互作用した。 3. NSP1遺伝子欠損マウスでは、アロディニアのみならず急性や慢性の炎症性疼痛の増強作用が見られた。後根神経節細胞では炎症性疼痛に伴ってTRPV6やTRPV2の発現には変動はなかったが、NSP1は炎症の初期では発現上昇が、慢性炎症では発現が減少した。NSP1の発現変動が炎症性疼痛の制御を担っている可能性が示唆された。
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