2011 Fiscal Year Research-status Report
手術後創部痛の完全克服を目的とした埋め込み式持続鎮痛ゲルの開発
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23590728
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (30333199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 術後鎮痛 / 鎮痛剤 / 除法効果 |
Research Abstract |
ラット術後痛モデルを用いた生体吸収徐放性ゲルの術後早期の鎮痛効果の最適化)足底筋の裏にスペースを作り、ゼラチンゲルを埋込むことで、切開部の創傷治癒に明らかな悪影響を及ぼすことなく、ほぼ同様のvon Frey filament試験の閾値の術後経過をとることを確認できた。研究者らは徐放に使用する鎮痛剤として、代表的な局所麻酔薬であるリドカインとNSAIDのケトプロフェンを選択した。リドカインとケトプロフェンをそれぞれ電荷の対応するゼラチンゲルに浸透させたものをラット術後痛モデルの足底筋裏にうめこんだ。コントロールとして、切開縫合のみ群と、PBSを浸透させたゲルを埋込んだ群と比較したが、リドカインゲル群やケトプロフェンゲル群は切開縫合のみ群やPBSゲル群と比較して1週間に渡り、有意に疼痛閾値を上昇させ、鎮痛効果の持続を認めた。また、その効果が鎮痛剤の徐放効果によるものであることを確認するために、リドカインやケトプロフェンの局所のボーラス投与の実験もおこなったが、何れも切開後3.4時間後おいてのみ、鎮痛効果を認め、持続性は認めなかった。また先制鎮痛法(切開の30分前にザルトプロフェンを胃管から投与)との併用で、術後5日間に渡り、有意に鎮痛の上乗せ効果を認めた。術後早期の創部痛に対する鎮痛効果の客観的評価方法の確立)ラットの足底筋切開により、術後脊髄後角のミクログリアの活性化が起こることをpp38,OX-42に対する抗体を用いた免疫染色法において確認した。次にケトプロフェンゲルを埋込み、von Frey filament試験において有意に鎮痛効果の見られる術後3日目にラットを屠殺し、脊髄を取り出し、pp38,OX42で免疫染色を行い、蛍光強度を定量化し、切開縫合のみ群にくらべて、ケトプロフェンゲル群は有意に蛍光強度が低下することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット術後痛モデルを用いた実験に関してはほぼ予定通りに実験をすることができ、期待された結果を得ることができた。Thy1-YFPマウスで開腹手術モデルの開発はまだできておらず、来年度の研究課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
開腹手術モデルをThy1-YFPマウスで確立する。その後、鎮痛薬含有生体吸収性ゲルを開腹部の筋間に埋込み、皮膚を縫合し、切開前、切開後、創傷が完治する2~4週間、疼痛閾値の変化を経時的に調べる。術後痛モデルと同様に徐放性ゲルの最適化を検討する。 Thy1-YFPマウスを用いて、in vivoで蛍光顕微鏡下に開腹手術モデルマウスの神経再生を手術部で経過観察する。平行して、血流計で手術部の血流を経過観察する。神経再生が皮膚に到達した時点で、手術部位の組織を摘出し、蛍光タンパクYFPを観察、神経線維マーカーPG9.5、運動終板のアセチルコリン受容体をブンガロトキシンで染色し、再生神経の再構築を解析する。神経成長因子(NGF)など神経再生に影響を与える生理活性物質を含有させた生体吸収性ゲルを手術部の皮下、筋間、腹腔内に包埋し、神経再生・神経筋接合部の再構築に及ぼす影響を検討する。生理活性物質の効果を1ヶ月の長期間得るために、徐放ゲルの代わりに、Alzetのミニポンプを用いて神経再生・再構築の効果を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラット使用による消耗品費用が主な研究費となる予定。
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Research Products
(1 results)