2011 Fiscal Year Research-status Report
家族性Moyamoya病の分子発症機構の解明と脳血管疾患の予防医療の確立
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23590741
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
人見 敏明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90405275)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Moyamoya病 / iPS細胞 / Mysterin / p.R4810K |
Research Abstract |
Moyamoya病は、日本人で多い脳血管疾患の中で若年性脳卒中の主要な原因の一つであり、内頸動脈終末部閉塞とそれに伴うもやもや血管を含めた側副血行路の発達を特徴とする。その感受性遺伝子は長く不明であったが、近年、我々は、Moyamoya病感受性遺伝子として新規タンパクをコードするmysterinを同定した(Liu W. et al. 2011)。 内頸動脈の閉塞の原因として血管内皮の異常増殖などの質的異常が指摘されているが、その病態は不明な点が多い。本研究では、(1)Moyamoya病患者由来のiPS細胞を樹立し、罹患細胞種へと分化させ、(2)細胞生物学的観察とmysterinの発現解析、(3)mysterinと他分子とのcross talkについて検討することにより、脳血管疾患に共通した脳血管特異的な機能上、構造上の分子メカニズムを解明し、脳血管疾患の新たな予防医療の確立を目指す。 3世代にわたる常染色体優性遺伝形式で伝達されている家族性Moyamoya病家系の研究参加者3名の皮膚生検を採取し、京都大学iPS研究所にて皮膚生検を行い、得られた皮膚繊維芽細胞に山中4因子(OCT3/4, SOX2, KLF4, c-MYC)をレトロウイルス用いて導入し、iPS細胞コロニーを樹立した。樹立したiPS細胞より、定量的PCR法を行い、得られたコロニーから最適なクローンを選択した。また得られたクローンは、我々が報告したMoyamoya病感受性遺伝子mysterinの多型p.R4810K(Liu W. et al. 2011)の有無、免疫染色、胚様体形成、核型解析、エピゲノム解析、Short tandem repeat解析を行い、クオリティコントロールチェックを行った。更に得られたクローンを内皮細胞へ分化誘導を行い、得られた内皮細胞の血管内皮マーカーを用いて分化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Moyamoya病患者由来のiPS細胞を樹立し、iPSのクオリティコントロールは完了した。また罹患細胞種の1つである血管内皮細胞へと分化、単離できた。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に樹立したMoyamoya病患者から樹立したiPS細胞から内皮細胞へと分化誘導し、単離した血管内皮細胞を使って、細胞増殖、遊走、アポトーシスなど細胞生物学的観察やMoyamoya病感受性遺伝子Mysterinの発現をrealtime-PCR, ウエスタンブロット法、免役染色法によりRNA、タンパクレベルで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
iPS細胞の維持、血管内皮細胞への分化誘導と単離後の維持に要する消耗品代として使用する。また分子生物学的手法であるwestern blotting、免疫染色、細胞生物学的観察、DNAマイクロアレイに必要な試薬などの購入に要する消耗品代として使用する。旅費は国内、海外の学会に参加するためのもので、その他は、論文投稿に関わる費用として使用する。
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