2013 Fiscal Year Annual Research Report
家族性Moyamoya病の分子発症機構の解明と脳血管疾患の予防医療の確立
Project/Area Number |
23590741
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
人見 敏明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90405275)
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Keywords | Moyamoya病 / 脳血管疾患 / Mysterin / iPS細胞 / 血管内皮細胞 / M期関連遺伝子 / mitotic failure / MAD2 |
Research Abstract |
日本人に多い脳血管疾患の中で、Moyamoya 病、脳動脈瘤および脳動静脈奇形は遺伝的負荷が強い。特にMoyamoya 病は若年性脳梗塞の原因となるが、その感受性遺伝子は不明であった。我々は、常染色体優性遺伝形式を示す3 世代家系でのPositional Cloning を行い、遺伝子座17q25.3にMoyamoya 病感受性遺伝子として新規タンパクをコードするmysterin(RNF213)および創始者変異R4810Kを同定した。 本研究では、R4810Kを有するMoyamoya患者よりiPS細胞を樹立し、血管内皮細胞(iPSECs)への分化を行ったところ、患者および遺伝子保因者由来のiPSECsで血管形成能の低下していることを示した。またmysterin R4810Kの強制発現は血管内皮細胞株において血管形成能の低下を再現したが、siRNAによるmysterin抑制では血管形成能に影響を与えなかった。さらにマイクロアレイ解析により患者iPSECsでは細胞分裂に関与する多数の遺伝子群の発現の低下を認めた点から、mysterin R4810Kが細胞分裂機能に与える影響を検討した。その結果mysterin R4810K強制発現細胞および患者iPSECにおいて細胞分裂M期の延長と mitotic failure の上昇を認めた。またmysterin R4810KはM期進行を制御するMAD2と共局在してMAD2の異常な局在を引き起こすこと、mysterin R4810Kは野生型と比較してMAD2とより強固に複合体を形成することが証明され、mysterin R4810KがMAD2への吸着により正常な局在を阻害することが示唆された。さらに患者線維芽細胞では薬剤によるM期停止処理化で染色体異数性が観察され、mysterin R4810Kがゲノム不安定性を導くことを示した。
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