2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロナノバブル水の抗菌効果の科学的立証と感染予防対策への応用
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23590747
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
桜井 直美(駒田直美) 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10274979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 和子 植草学園大学, 保健医療学部, 教授 (60110508)
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Keywords | マイクロナノバブル / 感染予防 / 緑膿菌 / セラチア菌 / アシネトバクター・バウマニ / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1. マイクロナノバブル水により抗菌効果の確認:前年度の結果で、使用する水の純度により抗菌効果に差異が見られたため、さらに純度の異なる水を用いて比較検討した。前年度で緑膿菌に対して抗菌効果の観察されたElix 3 UVと脱イオン水、水道水で比較したところ、脱イオン水、水道水で緑膿菌だけでなくセラチア菌、アシネトバクター・バウマニでも抗菌効果が観察出来た。 2. 走査型電子顕微鏡による形態観察:走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて菌体表層のダメージを観察した。脱イオン水でマイクロナノバブル水を調整し、緑膿菌、セラチア菌、アシネトバクター・バウマニについて観察した。マイクロナノバブル水への曝露は30分とした。その結果、コントロールと比較して一部菌体が変形している像が観察されたが、明確ではなく、試料の調整を含めた更なる検討が必要であると考えられた。 3. 活性酸素の測定:マイクロナノバブルの抗菌効果の作用機序として、バブルが水中で圧壊する際に発生する活性酸素が抗菌活性を担っていると考えられているため、菌体にマイクロナノバブル水を作用させた際の活性酸素量の測定を試みた。活性酸素のうち、ヒドロキシラジカルについてはホタルルシフェリンを用いた発光により、スーパーオキシドアニオンラジカルについてはWST-1を用いて測定した。しかし、測定値は低く活性酸素量の測定は困難であった。これは、バブルと菌体の接する局所で活性酸素が発生するため、バブルの含有量、菌体の濃度などにより結果が大きく左右されたためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は抗菌の作用機序を解明する事を目的としており、走査型電子顕微鏡による形態観察および活性酸素量の測定から作用機序の解明を試みた。結果として、上記の手法では作用機序の解明に至らなかったが、次年度へ向けた方策が明らかとなり、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から継続して、抗菌作用の機序を解明する一助として、試料の調整方法の検討と走査型のみだけでなく透過型電子顕微鏡を用いた形態観察を行う予定である。 マイクロナノバブル水の抗菌効果としては対象菌種にばらつきがあり一定しないが、一部のグラム陰性菌で効果が見られている事、マイクロナノバブル水には汚れを浮かす効果がある事から、実際の入浴介護に実験的に導入して効果を判定する予定である。使用するマイクロナノバブル発生装置の能力から、まずは家庭用の浴槽で実際に効果を判定後に、介護施設の個別浴槽での検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. マイクロナノバブル水の抗菌作用機序解明のための電子顕微鏡による観察において、固定用等の各種試薬、試料台、蒸着用の金プローブなどを購入する予定である。 2. 対象細菌の菌量を計測するための分光光度計をあらたに購入する予定である。また、この分光高度計は、実地調査時の汚染状況の観察や活性酸素の測定などにも活用する。 3. 入浴への応用において、細菌数の変化を観察するための細菌学的な種々の培地、試薬等を購入する。
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Research Products
(2 results)