2011 Fiscal Year Research-status Report
レア・アース元素の健康影響 -吸入曝露実験による次世代影響-
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23590753
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (80095819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 厚子 清泉女子大学, 人文科学研究所, 教授 (90157850)
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | サマリウム / セリウム / 吸入曝露 / 肺 / 精巣 |
Research Abstract |
レア・アース元素のうち、小型の強力磁石の材料として使われるサマリウム(Sm)とレンズ研磨剤として古くから使用されているセリウム(Ce)を選び、ICR系雄性マウスへの吸入曝露実験を行った。平均粒径 5μmの高純度酸化物(Sm2O3 またはCeO2)を、吸入曝露装置を用いて、15 mg/m3、7hrs/day、5 days/weekの条件で、1または4週間吸入曝露した(Sm-1w群、Sm-4w群、Ce-1w群、Ce-4w群)。曝露終了翌日、および4週間通常飼育後、一群5匹を解剖した。飼育期間を通じて、体重増加抑制や肉眼的変化は認められなかった。投与元素は主に肺に沈着し、投与終了翌日において、Sm-1w群、Sm-4w群はそれぞれ約50, 120μg/g wet、Ce-1w群、Ce-4w群はそれぞれ約15, 37μg/g wetで、同粒径の酸化物でも元素により肺へ取り込まれ方に違いがみられた。曝露期間が4倍になると肺濃度は約2.4倍で、継続的に肺からの排出が起こっていることが示唆された。曝露中止後、4週間経過すると1週曝露群では濃度が約1/4に、4週曝露群では約1/2になり、肺からの排出速度は曝露期間もしくは蓄積量により異なると考えられた。Smは、濃度は肺より2桁低いが肝臓にも分布し、濃度は曝露期間に応じて変化した。しかし、Ceは肺以外の臓器にはほとんど分布しなかった。次世代への影響に関与すると考えられる雄性生殖器の精巣には、Sm-4w群で肝臓よりさらに一桁低い濃度分布したが、Sm-1w群では対照群との差は認められず、Sm-4w群でも曝露中止後4週間が経過すると対照群レベルに戻った。Ceについての分析と、カルシウム等の生体必須元素濃度の分析はこれから行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
吸入曝露実験に使用を予定していたチャンバーおよび微量元素濃度の分析に用いるはずであったICP-MS分析装置が2011年3月に発生した東日本大震災後の修理のため使用時間が限られてしまい、曝露実験および分析が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
吸入曝露した元素は精巣にはあまり移行しないことがわかった。雌についても同様の実験をして生殖器への分布をみることも必要だが、曝露装置の関係で時間がかかると予想されるため、次世代影響は別の方法で同程度の希土類取り込みが期待される量を投与して、並行して進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のとおり、分析に用いるはずであったICP-MS分析装置が2011年3月に発生した東日本大震災後の修理のため使用時間が限られてしまい分析が遅延した。そのため、分析に必要な試薬類を予定数量使用しなかったため購入を見送った。次年度において、分析に必要な試薬、ガス類および曝露実験に供する実験動物の追加購入を行い、精力的に分析を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)