2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590756
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
森田 幸雄 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (50415056)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 冷凍輸入エビ / サルモネラ / 薬剤耐性菌 / 東南アジア / NDM-1産生多剤耐性菌 |
Research Abstract |
我が国でも、ニューデリー・メタロ-β-ラクタマーゼ1(NDM-1)産生多剤耐性菌は院内感染として問題となっており、平成21年5月のインド渡航者からのNDM-1産生多剤耐性大腸菌の検出のように海外渡航者からの輸入例が確認されている。現在、鳥インフルエンザや口蹄疫の流行によってアジア諸国から生鶏肉・牛肉・豚肉が我が国に輸入されることはない。しかし、多くのエビはアジア諸国から輸入されている。そこで、NDM-1多剤耐性菌を含む耐性菌の日本への食品を介する侵入経路解明調査のひとつとして、アジア諸国の国毎に輸入される魚介類、特に冷凍エビからサルモネラや一般生菌等を分離し、それらの薬剤耐性試験を実施し、NDM-1産生多剤耐性菌や多剤耐性菌の分布状況について調査を実施した。 平成23年度は国内で市販されている魚介類、特に輸入冷凍エビ30検体(インドネシア14検体、インド9検体、オーストラリアとタイ2検体ずつ、ベトナム、サウジアラビア、アルゼンチン1検体ずつ)を検査した。今回の調査では大腸菌を分離することができなかった。サルモネラは4検体から分離された。インドネシア産の2検体のエビからはSalmonella enterica subsp. salamaeおよびS. Weltevredenが、インド産の2検体のエビからはS. Abonyおよび型別不能(O4群)が、各々1検体から血清型等が分離された。分離サルモネラは供試した多くの薬剤に感受性であった。冷凍エビ1gあたりの平均一般生菌数は24,000個/gであった。今回、基質特異性拡張型βラクタマーゼ腸内細菌分離用のESBL培地やカルパペネル耐性菌分離用培地用培地のKPC培地上に発育した菌を多数分離したことから、現在、これらの菌の薬剤耐性と菌種の同定を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内で市販されている魚介類、特に輸入冷凍エビについてアジア輸入国ごとに多量の大腸菌等を分離する予定であった。前回の調査(2007年)では、大腸菌群・大腸菌が容易に分離できたため、これらの菌が分離できたところで薬剤感受性試験を実施する予定であった。今回は大腸菌・大腸菌群を分離することができなかった。今回、サルモネラが分離されたため、その同定・薬剤感受性試験等を実施したため、分離された一般生菌の薬剤感受性試験や同定試験が遅れてしまった。また、研究代表者が(独)国際協力機構の短期専門家としてウガンダ共和国に派遣(8月8日~9月2日まで)されたことも研究がやや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に継続し、国内で市販されている魚介類、特に輸入冷凍エビ、そして活貝類等についてアジア輸入国ごとにサルモネラ・大腸菌・大腸菌群、一般生菌等を分離し、薬剤感受性試験等を実施し、各国毎の薬剤感受性の特徴を調査する。さらに、エビを輸出している東南アジアのエビ養殖場・エビ加工場を訪問し、衛生状態を把握する。また、平成23年度に分離したサルモネラや一般生菌をも含め、多くの分離菌の同定やこれらの菌の遺伝子学的特徴等を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品100万円(検体購入12万円、定量用培地・保存用培地等26万円、定量検査用スパイラルプレーター消耗品10万円、食中毒菌分離用培地10万円、薬剤感受性試験25万円、遺伝子検査17万円)、国内旅費8万円(成果発表等)、外国旅費25万円(エビ生産・輸出国訪問)、謝金等5万円(外国の研究者への消耗品購入等)、その他11万円(通信費、研究成果投稿料等) 計149万円
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