2014 Fiscal Year Research-status Report
新奇アジュバントを用いたCTL誘導性ウエストナイルウイルスワクチンの開発
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23590761
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
正木 秀幸 近畿大学, 医学部, 講師 (90247982)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ウエストナイルウイルス / E蛋白質 / 組換え蛋白 / 成分ワクチン / cross-presentation / CTL / 中和抗体 / 感染防御 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫細胞発現系により発現させた組換えウエストナイルウイルスE(WNVE)蛋白を用いた、中和抗体のみならずCTLも誘導する組換え成分ワクチンの基礎的研究として、本年度は以下の4点を行なった。 1.組換えWNVE蛋白内包γポリグルタミン酸(γ-PGA)ナノ粒子による免疫 Drosophila発現系により作成・精製した組換えWNVE蛋白を、cross-presentationを惹起することによりCTLを誘導する両親媒性アジュバントであるγ-PGAで内包させたナノ粒子を作成し、B6マウスに免疫(WNVE蛋白にして100mg・1週間ごと3回)した。2.抗体誘導の確認 不活化WNV粒子固相化プレートを用いたELISA法により、WNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子の免疫によって、血清中にWNV結合性IgG抗体が誘導されることを確認した。3.WNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子免疫により誘導されるCTLエピトープの同定 WNV感染により誘導されるCTLにおいて同定されているエピトープペプチドを用いて、IFN-γ検出ELISPOTアッセイにより、WNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子免疫により誘導されるCTLのエピトープについて脾細胞を用いて検討したところ、既知のCD8陽性CTLエピトープ5種類、及びCD4陽性CTLエピトープ1種類のいずれにおいても、WNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子免疫特異的に有意な反応が観られた。特に、CD8陽性CTLエピトープの1つである、E蛋白の4番目から12番目のアミノ酸配列に一致するペプチド(E4-12)に対して、最も強い反応が観察された。4.細胞傷害活性の検討 E4-12によりin vitroで刺激したWNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子免疫リンパ節細胞について、E4-12をパルスしたEL-4細胞に対する細胞傷害活性を検討したところ、有意な活性が観られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
学生教育の負担(本年度は例年の倍である2つの学年の担当)、他学部(生物理工学部)への移籍の準備、研究協力者の研究室に在籍していた大学院生の想定外の退学、他のプロジェクト(本研究課題にて作成した組換えWNVE蛋白を用いたWNV中和ヒトモノクローナル抗体の樹立<創薬等支援技術基盤プラットフォーム採択課題>)の遂行などによる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、近畿大学薬学部に在籍している研究協力者の助力を得て、以下の3点について検討を行なう。1.CTL誘導に対する免疫法の最適化の検討 WNVE蛋白質の量や免疫回数、免疫ルート(経皮・経鼻)、アジュバントの使用法(ナノ粒子に内包・ナノ粒子と混合)等の条件を変えて、CTL誘導の最適化をMHC tetramerアッセイ及び細胞傷害活性を用いて検討する。2.中和抗体価の測定 免疫血清中のWNV中和抗体価をvero細胞を用いたプラーク減少法により測定する。3.ワクチン効果の検討 WNVE蛋白内包γ-PGAナノ粒子免疫マウスに、致死量のWNVを接種してmorbidityやmortalityを観察することにより、感染防御効果を検討する。また、WNVに近縁の日本脳炎ウイルスに対する感染防御効果も併せて検討する。
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅延により、研究計画当初に本年度に予定していた実験の多くが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は(1)組換えWNVE蛋白質の発現・精製、(2)WNVE蛋白質内包γ-PGAナノ粒子作成とマウスへの免疫、(3)CTL誘導の最適化の検討、(4)WNV中和抗体価の測定、(5)ワクチン効果の検討を計画している。そのため、マウスとその飼料、培地と培養器具、MHC tetramer作成費、細胞傷害活性測定用のRI(51Cr)などへの使用を計画している。
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