2011 Fiscal Year Research-status Report
総粉じん・吸入性粉じん用サンプラの評価と大容量サンプラの開発
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23590762
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
明星 敏彦 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00209959)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 産業衛生 |
Research Abstract |
1)作業者へ取り付けるタイプと定置タイプの粉じん用サンプラの収集評価については、海外製品ではIOMサンプラ、ボタンサンプラ、アスベストサンプラなどを、国産では労研式サンプラなど作業者の襟に取り付けるサンプラを購入し、性能について文献研究を行った。アンダーセンサンプラは予算執行の関係で旧型を利用することとした。代わりにパーティクルカウンタを購入し、粉じんの粒径別の個数濃度が計測できるようにした。2)吸入性粉じんサンプラと各種サンプラの性能比較については、準備として粒径10μm前後の粉体を流動層方式の粉じん発生装置で分散し、粒度分布が既知の試験粉じんを発生した。粒度分布の確認はパーティクルカウンタを用いて行い、ほかに利用できた電気式低圧インパクタも使用した。測定した粒径の範囲は10μmからナノサイズまでであった。3)標準粒子による性能測定については、数種類の10μm前後の粒径の揃ったポリスチレンラテックス粒子の懸濁液を購入し、これを噴霧乾燥法を用いて気中に分散して試験粒子を発生させる方法を検討した。十分な発生濃度にするためにはまだ調整が必要であった。4)大流量サンプラの設計については、試作のため時間がかかることを考慮し、前倒しで、大流量捕集(ハイボリウムサンプラ)用のサイクロン方式の分粒装置の第一号を設計製作した。上述の方法を利用してその分粒特性を計測した。概略の性能は得られたが、構造のどの部分が性能に関係するかまだ検討の必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粉じん用サンプラの収集評価についてはほぼ達成、各種サンプラの性能比較と標準粒子による性能測定は未達成で今後すすめる。大流量サンプラの設計は基本的に前倒しで進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)吸入性粉じんサンプラと各種サンプラの性能比較について、粒度分布が既知の試験粒子を発生し、各種サンプラの性能比較を実施する。2)標準粒子による性能測定について、数種類の10μm前後の粒径の揃ったポリスチレンラテックス粒子の懸濁液を噴霧乾燥法を用いて気中に分散して試験粒子を発生させる方法を引き続き検討する。3)大流量サンプラについて特許の取得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、基本設計の終了した大流量サンプラの試作を中心に行う。昨今の作業環境では粒子状物質の濃度が減少し、また許容濃度なども低い値に設定される傾向があるので、500 L/min程度吸引できる大流量サンプラ(ハイボリウムサンプラ)が求められている。市販の大流量サンプラでは分粒装置にインパクタを用いているが、インパクタ衝突板からの粒子の再飛散防止にグリースを用いているものの、粒子の堆積によってすぐにその効果は減衰し、再飛散した大粒子により吸入性粉じんを過大評価することが問題となっている。このため、グリースを用いないサイクロン方式では安定した分級性能が期待できる。前年度の研究においてこのサイクロン方式の分級装置の基本的な性能を調べた。有望ではあるが、構造の影響を把握するため、さらに何種類かの試作が必要であることがわかった。また標準ポリスチレンラテックス粒子の気中への噴霧のための装置の試作と標準粒子の購入をしたい。
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Research Products
(1 results)