2012 Fiscal Year Research-status Report
総粉じん・吸入性粉じん用サンプラの評価と大容量サンプラの開発
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23590762
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
明星 敏彦 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00209959)
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Keywords | 吸入性粉じん / 吸引性粉じん / インハラブル / 分粒装置 / サイクロン |
Research Abstract |
1)粒径10μm前後の粉体(複写機用トナー)を流動層方式の粉じん発生装置で分散し、試験粉じんを高濃度(10 mg/m3程度)で発生することができた。粒度分布の確認はアンダーセンサンプラと電気式低圧インパクタを使用した。この粉じんを100Lほどの曝露箱に導入し、粉じん環境を形成した。作業者へ取り付けるタイプと定置タイプのサンプラは曝露箱内部に設置する構造とした。 2)粉じん用サンプラの評価については、吸引性粒子(粒径100μm以下)を測定するIOMサンプラとボタンサンプラ、粗大粒子と吸入性粒子(粒径10μm以下、50%分級点が4μm)を測定するTRサンプラ(NWPS-254)について比較検討を行った。これらは作業者の襟に取り付ける小型低サンプリング流量である。IOMサンプラとボタンサンプラは測定した濃度について良い一致を示したが、TRサンプラの示す総粉じん濃度は前者より低く、検討が必要と思われた。 3)分級特性を確認済みの標準ロウボリウムサンプラで測定した吸入性粉じん濃度は、TRサンプラの吸入性粉じん濃度より高く、これも今後検討が必要と思われた。 4)大流量捕集(ハイボリウムサンプラ、以下HV)用のサイクロン方式の分粒装置を作成し、既存の分粒装置(インパクタ方式)を取り付けたHVとの並行測定により比較検討を行った。両者は同程度の吸入性粉じん濃度を示したが、インパクタ方式の結果は不安定であり、インパクタ捕集板からの大粒子の再飛散が考えられた。 5)サイクロン分粒装置付きHVを改造し、サイクロン前後で電気式低圧インパクタを用いて粉じんの粒径別濃度を測定した。結果として現在のサイクロン分粒装置付きHVの50%分級点は1μm(PM1)であり、これの利用価値は大きいが、吸入性粉じん用(50%分級点4μm)とするにはさらに改造が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 試験粒子発生装置と粒径別の分離特性評価システムが完成し、粒径10μm前後の粉体(複写機用トナー)を高濃度で分散し、粒径別の粒子濃度測定器で評価用分粒装置の前後の濃度を測定することで分離特性を求めることができた。 2) 吸入性粉じんの標準ロウボリウムサンプラを基準として評価用サンプラの質量濃度を確認する方法が有効であった。国内で使用されているサンプラは粒径別に厳密に評価されていないことを疑わせる結果となった。 3) サイクロン分粒装置付きHVが完成し、その50%分級点は1μm(PM1)と予想より高性能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) サイクロン分粒装置の改造 サイクロン分粒装置付きHVで測定した吸入性粉じん濃度は標準ロウボリウムサンプラの濃度に比べ約3分の1で50%分級点が4μmより小さい。現在のサイクロン分粒装置付きHVの50%分級点は1μm(PM1)であり、吸入性粉じん用(50%分級点4μmまで性能を落とす)とする改造が必要である。 2)学会発表と論文作成
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)分級点の大きなサイクロンの製作 2)学会発表 日本エアロゾル学会、日本労働衛生工学会に発表を予定している。
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Research Products
(2 results)