2011 Fiscal Year Research-status Report
バイオ燃料ETBEの生体影響および代謝酵素遺伝子多型の修飾作用について
Project/Area Number |
23590766
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
王 瑞生 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 上席研究員 (10321895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 恵 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 主任研究員 (90415969)
翁 祖銓 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 研究員 (10541170)
柳場 由絵 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 研究員 (90467283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バイオ燃料 / ETBE / 毒性評価 / 遺伝毒性 / ALDH2 / 感受性 |
Research Abstract |
エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)はバイオ燃料として2010年から全国で使用されているが、その生体影響や修飾因子についてはまだ十分に解明されていない。文献およびわれわれの先行実験では、ETBEは高濃度(5000ppm以上)ばく露は肝臓障害などを引き起こすことが判明され、また、アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)がその体内代謝に関与していることも示唆された。今年度は、この酵素(ALDH2)の遺伝子ノックアウト(KO)マウスおよびその野生型マウスを用いて、ETBEの比較的低濃度において吸入ばく露実験を行い、ETBEの生体影響およびAldh2遺伝子型の影響について検討した。血球数やヘモグロビン濃度などに対し、いずれの遺伝型マウスにおいてもばく露による影響はなかった。白血球におけるDNA損傷度の測定(コメットアッセイ法)を行った。その結果、野生型マウスではETBEばく露による損傷度(テールの輝度)の上昇はなかったが、KOマウスでは200ppm以上のばく露により有意に上昇した。肝細胞におけるDNA損傷についても解析し、白血球での結果と一致している。肝臓の組織学解析を行い、KOマウスでは500ppmのETBEばく露で小葉中心性肝細胞腫大やびまん性微細空胞などの変化は観察され、野生型マウスより顕著であったことが認められた。これらの結果は、ALDH2酵素はETBEの体内代謝に関与し、その毒性発現に影響を与えることを示唆した。また、本実験でAldh2遺伝子ノックアウトマウスにおいて報告されたETBEの最大無毒性用量500ppmより低い濃度においても、白血球や肝細胞におけるDNA損傷度の上昇などが観察され、この酵素活性の欠損によってETBEに対する感受性が高くなることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年夏、関東エリアの節電対策で計画した実験の一部はできなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は概ね、計画した動物実験は実施し、数多くの生体試料を採集した。しかし、上述した節電対策の影響で、一部の試料の測定・解析を実施することができなかった。平成24年度は、これらの未完成の実験を実施し、また新たの実験計画も進めて、全体計画の遅れを取り戻す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は一部の研究計画が実施されなかったが、研究費の次年度への繰り越しができた。平成24年度は、これらの繰り越し研究費および新たに請求する研究費と合わせて、前年度の未完成実験項目と次年度に計画した実験を進める。
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