2011 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病の根源を疫学的に探究する―出生時体重と成人期生活習慣の複合影響-
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23590787
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学部, 教授 (30262900)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 出生時体重 |
Research Abstract |
2011年度は、2002年と2007年に調査した出生時体重の一致度について分析した。解析対象者は1368名(平均年齢±標準偏差:48.6±5.7歳)(男性1029名:48.9±5.8、女性339名:47.6±5.6)、両年とも2500g未満、2500-2800g未満、2800-3000g未満、3000-3200g未満、3200-3500g未満、3500-4000g未満、4000g以上の7カテゴリーを用いて調査を行っており、カッパ係数(k)を算出して評価した。対象者全体では、kは0.505であった。男女別では、男性0.470、女性0.607と女性の方が一致度が高かった。年代別では、40-45歳未満0.578、45-49歳未満0.524、50-55歳未満0.437、55-60歳未満0.424と年代が上がるほど一致度は低くなった。次に、7群を2500g未満、2500-3000g未満、3000-3500g未満、3500g以上の4群に統合して同様な検討を行った。対象者全体では、kは0.629であった。男女別では、男性0.593、女性0.739と同様に女性の方が一致度が高かった。年代別では、40-45歳未満0.651、45-49歳未満0.685、50-55歳未満0.601、55-60歳未満0.539と50歳代以降で一致度は低くなった。kが0.61~0.80の間にあれば実質的に一致しているとみなされることから、我々の行なった調査では、出生時体重を上記の4群に基づいて検討していくのが妥当と考えられた。また、今後得られた結果を解釈する際には、性や年齢を考慮する必要があることが示唆された。2012年度は、出生時体重と病歴調査(疾患の発症年齢)の結果を用いた前向き研究に準じた検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出生時体重と成人期の生活習慣病との関連について研究を進める上で、出生時体重の妥当性は基本となる研究課題である。しかしながら、その報告は海外も含めて殆どない。特に再現性に関しては皆無である。我々の研究班では再現性を検討する条件が整ったので、初年度である平成23年度に行った。その結果は過去の同様なテーマを扱った研究、さらには今後の研究に対して示唆に富む結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成14年度に行った初回アンケート調査以降、経過観察した対象に対して、その後の糖尿病などの発症を把握したデータベースが完成した。そのデータを使って、出生時体重と糖尿病等との関連を前向きに検討したい。また、コホート研究では、病歴把握調査も行っており、生活習慣病の発症年齢も聴取できており、このデータを使った前向きな解析も可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、コホート対象者の疾病発症の把握に努めるとともに、その結果を入力したデータベース作成を中心に研究を進めた。そのため、学会での発表や情報交換の機会を制限した。次年度以降は、統計ソフトの充実など研究環境の整備に努めるとともに、研究の遂行に役立つ情報、知識を持つ研究者と積極的に交流を図るための旅費並びに成果発表に関わる論文校閲、旅費等への支出を計画している。
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Research Products
(2 results)