2012 Fiscal Year Research-status Report
耐糖能異常および脂質代謝異常と死因―とくに悪性新生物死の関連の疫学研究
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23590794
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中西 修平 広島大学, 病院(医), 病院助教 (70372183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 真康 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任助教 (30508130)
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Keywords | 代謝疾患 |
Research Abstract |
本研究は、悪性腫瘍の発生に、高インスリン血症・耐糖能異常や脂質代謝異常が関与することを仮説とし、遺伝的に差がないが環境因子が異なる事が示されている日系米人のデータを用いて悪性腫瘍と死因を検討することで、日本人の耐糖能異常者および脂質代謝異 常者の死因特に悪性腫瘍死に関する研究の発展に貢献することを目的とする。 平成24年度はハワイ島における医学調査を行った。医師3名、歯科医師1名、看護師4名、管理栄養士2名で構成される検診団を組織し、同年7月22日より米田医師(研究分担者)を団長としハワイ島ヒロ市において、同年8月2日より団長交代のため中西(研究代表者)が渡米しハワイ島コナ地区において日系米人医学調査を行った。なお研究分担者は先発隊として検診団より前に現地入りした。同月12日帰国までに、総数200名の検診者の血液・尿検体及び栄養データを入手することに成功した。 医学調査に必要な日本からの輸送物品、検診で使用する医療物品の現地での入手及び使用済医療廃棄物の合法的な破棄、医学調査実施後の血液および尿検体のハワイから広島への安全な輸送については、平成23年度内に予め2度にわたり渡米し調整していた事が奏功し、ほぼ事前の契約・予定通りに進み、大きな事故なく実施することが出来た。 我々は帰国後直ちに検体の受け取りを行い、インスリンをはじめとする生化学及び尿データの測定、解析、糖負荷試験成績および栄養調査などの紙データの入力を行った。平成24年のうちに検診成績をハワイ在住の全受検者へ送付を完了させた。 また、これらのデータに加えて、検体の血清を使用した培養細胞を用いた詳細な脂質データの測定も準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年の夏季に、約3週間の予定でハワイ島に在住する日系米人を対象として医学調査を実施すること、スタッフは医師3名、看護師3名、管理栄養士2名、検査技師1名の総勢9名程度とすること、実働検診期間は14日間で受診者を1日50名程度受け入れ、合計で600名を予定することを当初の計画としていた。このうち予想外に受検者が少なかったことを除けば、ほぼ順調であったものと理解している。 また当初計画では、対象者全員に倫理審査委員会の承認を得た同意文書への署名を得た上で、詳細な問診(現病歴、特に悪性新生物に関する家族歴および既往歴、身体活動度に関するアンケート)とともに、身体計測(身長、体重、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、体脂肪率の測定を含む)、血圧測定、心電図、超音波検査による頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)および腹部の皮下脂肪厚、内臓脂肪厚を測定することや、管理栄養士による栄養摂取状況の聞き取り調査(24時間思い出し法)によって、個々の対象者の1日の総カロリー摂取量、炭水化物、蛋白質、脂質の摂取割合、コレステロール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、塩分、食物繊維の摂取量を算出すること、また問診にてデータベースの充実を図ることなどを計画していたが、それらも予定通り遂行できた。予想外だったのは、日系人コミュニティー内で他のメンバーの状況を必ずしも把握していなかったという事であり、今後の検診遂行に課題を残した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度のハワイ検診時に得られた課題として、日系人コミュニティー内のメンバー把握状況が思わしくないという事が見出されたため、平成25年度はロサンゼルス地区日系米人医学調査として、ハワイ検診時の様な検診団を派遣するのではなく、研究代表者が夏季に同地区の県人会の定例会に参加し、その前後で数日間滞在し、県人会代表者複数名と過去の検診受診者の現状を確認するミーティングを開催する事とする。この日程は平成25年9月19日~24日で調整中である。ハワイ検診時と同様に、複数回の渡米が必要であれば、適宜計画する。 また、その結果を踏まえて、本年の計画の位置づけである「解析・評価段階」として、耐糖能異常および脂質代謝異常が悪性新生物死あるいは既往、死因とどの様に関連しているかを検討し、糖尿病の細小血管障害・大血管障害に次ぐ“第3の合併症”となり得るか、脂質代謝異常が動脈硬化性疾患のみならず悪性新生物と関連しているか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年の夏季に、ロサンゼルス地区の日系米人コミュニティーの定例会に参加するための旅費および滞在費を要する。この渡米は複数回となる可能性がある。 また、現在平成24年ハワイ検診時に得られた検体の詳細な糖および脂質代謝関連の測定費用を要する。 以上の費用に使用する予定である。
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