2012 Fiscal Year Research-status Report
地域における循環器疾患対策のための新たな評価モデルの構築
Project/Area Number |
23590795
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
斉藤 功 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90253781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60325363)
山内 加奈子 愛媛大学, 教育学部, 研究員 (20510283)
谷川 武 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80227214)
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Keywords | 疫学 / 循環器疾患 / 評価指標 / ヘルスプロモーション |
Research Abstract |
本研究は循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)対策におけるヘルスプロモーションの評価指標として、疾病の発症情報もしくは人口動態統計に基づく死亡情報がどの程度疫学的に利用可能なのか検討することを目的としている。人口動態統計は衛生統計の指標として最もよく用いられるものではあるが、死亡診断の精度を鑑みると1次予防の指標として使用可能かどうか明らかではない。愛媛県O市(人口約5万人)において循環器疾患発症調査から、1999年~2010年までの心筋梗塞と脳血管疾患の発症率、ならびに虚血性心疾患、脳卒中(国際疾病分類[ICD-10]:虚血性心疾患[I20-I25]、脳血管疾患[I60-I69])の死亡率の推移を比較したところ(40歳以上)、心筋梗塞と脳血管疾患の発症率もしくは死亡率はいずれも減少傾向を示した。また、同市における2006~2008年の循環器疾患関連死亡694例の内、85歳以上あるいは病院外死亡等を除く179例を抽出し診療記録等の遡り調査を実施し、心筋梗塞と脳卒中死亡における診断の精度を検討した。心筋梗塞における診断の感度は73.3%、特異度85.2%、陽性予測値35.5%であった。一方、脳卒中は、感度88.2%、特異度83.8%、陽性予測値73.8%であった。本研究は病院内死亡についてのみの検討ではあったが、心筋梗塞と脳卒中の特異度は比較的高く、診断の精度としては概ね良好であることが示された。本検討は症例数が少なかったため、今後、調査期間を延長して継続する必要があった。本研究から死亡診断の精度が担保できるのであれば、死亡統計の動向と発症率の動向が同じ傾向を示していることは矛盾しないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り愛媛県O市における基幹病院を中心とする脳卒中・虚血性心疾患発症者の把握から、死亡率と発症率の動向を示すことができた。人口動態統計の目的外使用の申請を行い、循環器疾患関連死亡にかかる死亡診断の精度の検討を行い、感度、特異度等の指標の算出を行うことができた。感度分析等のモデルを構築するための分析方法に関しても方向性を定めることができ、一定の成果を上げることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り、本研究は愛媛県0市において循環器疾患対策に向けた包括的な保健事業評価につなげるための方法論の構築とマニュアルの作成を行うことを目的としている。平成25年度は、平成23年度から行ってきた研究を継続することにより、2012年までの40歳以上の脳卒中・心筋梗塞の発症者を医療機関の調査から把握する予定である。また、2006年~2012年までの発症者については、人口動態統計から得られた原死因情報より医療機関へ遡り診断の確定を行う。そのために、直近の2011年~2012年の人口動態統計の目的外使用の申請を行う。これらの検討は、本研究において死亡率の動向の精度を担保するために重要である。さらに、病院調査から把握された発症者数と突合することにより感度分析を行い、登録情報の漏れに関連する把握率の指標を算出する。また、当域の死亡率に関しては、病院内死亡率と病院外死亡率にわけ、過去1999年からの動向を分析する。 1996年~98年に設定したコホートのエンドポイントを2010年まで延長し、既知の危険因子に関して相対危険度、並びに集団寄与割合を算出する。当地域における1999年~2012年まで延長し、既知の危険因子に関して相対危険度、ならびに集団寄与割合を算出する。等地域における1999年~2012年までの危険因子の動向とあわせ保健事業評価を試みる。 これまでの結果を踏まえ、学会発表等の成果報告を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するにあたり、継続して採録調査のためにトレーニングを受けた看護師一人を雇用する。調査件数は、年間およそ脳卒中・心筋梗塞発症者数が約200件、また原死因からの遡り調査では約300件が該当することが予測され、合計500件の調査が必要である。したがって、1日10件として、50日間分の費用を計上する必要が生じた。その他、データ分析のための統計ソフト、データのパックアップ用のハードディスク、成果発表のための旅費、各種研修会(医学統計の研修会を含む)および関連会議(主に東京)に参加するための費用および学会発表の参加費用をそれぞれ計上する。また、年1回、保健センターや地域医師会との連絡調整会議を開催し、本研究の調査結果等の報告を行うための会議費用を計上する。
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