2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590816
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 寅吉 東邦大学, 看護学部, 教授 (10533028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 明寛 東海大学, 医学部, 教授 (30185920)
金山 明子 東邦大学, 看護学部, 助教 (90536195)
長谷川 美幸 東邦大学, 看護学部, 研究員 (30598446)
小早川 信一郎 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90366469)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 抗菌薬耐性菌 / 日和見感染 / 医療・福祉 / 衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年に大学病院における全病棟の温水洗浄便座装置292台の温水噴出部位(ノズル)および座面後部を滅菌綿棒で拭い、試料を採取した。試料を寒天培地に塗布し培養後、発育菌を同定し、抗菌薬耐性菌の検出を行った。 温水洗浄便座292台のうち、254台(87%) のノズル、78台(27%)の座面より黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、腸球菌、腸内細菌、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌が1台あたり1から6菌種検出された。 黄色ブドウ球菌は1台のノズルと9台の座面から検出された。各1台からの株はMRSAで、いずれも市中感染型MRSA(CA-MRSA)に多いSccmecⅣ型を示したが、PVL(パントンバレンチンロイコシジン)産生株は存在しなかった。 腸内細菌の大腸菌、シトロバクター属菌、エンテロバクター属菌、クレブシエラ属菌がそれぞれ38台(13%)、5台(2%)、22台(8%)、13台(5%)より検出され、これらのうち、CTX-M-9 group 基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌が1台のノズルと座面の両方から、ESBL産生シトロバクター属菌が1台のノズルより検出された。緑膿菌、アシネトバクター属菌はそれぞれ6台(2%)、8台(3%)より検出されたが、多剤耐性株、メタロβ-ラクタマーゼ産生株ではなかった。 MRSAを含む黄色ブドウ球菌、および緑膿菌の遺伝子パターン(PFGE)は、各菌種においてすべて異なるパターンを示し、遺伝学的な関連は認められなかった。同一便座のノズルと座面より検出されたESBL産生大腸菌は同じPFGEパターンを示し、座面においては便器内部の細菌による汚染の危険性が示唆された。 病院の温水洗浄便座装置は抗菌薬耐性菌を含む排泄物由来の細菌で汚染され、複数患者が共用することによる抗菌薬耐性菌の院内への拡大が懸念された。本装置の管理方法を検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)