骨粗鬆症と骨折は動脈硬化を進展させ心血管リスクを高めるか－無作為標本の１５年追跡

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23590824
• Research Institution: Kinki University
• Principal Investigator: 由良 晶子 近畿大学, 医学部, 講師 (80142595)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388) ; 玉置 淳子 近畿大学, 医学部, 准教授 (90326356) ; 平野 豊 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (40218805)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2014-03-31
• Keywords: 心血管疾患 / 骨粗鬆症 / リスク評価 / 無作為標本 / 前向きコホート研究 / 地域保健

Research Abstract

JPOSコホート研究の満15年追跡調査を、香川県Ｓ市、北海道Ｍ町、新潟県Ｊ市の3地域で平成8年度の初回調査を受診し、調査時現在同地域に在住する1422人を対象として実施し、全体で996人が受診した(追跡率 70.0%)。本課題の対象者であるベースライン時50歳以上の717人については、459人が受診し追跡率64.0％を得た。　主要な結果指標である心血管疾患発症の把握については、対象者の面接調査時に心血管疾患が発症した可能性のある対象者を選定し、診断確認のための当該医療機関への質問調査について本人の同意を求めた。3地域を併せ、ベースライン時調査以降に心血管疾患が発症した可能性のある対象者が33人（脳卒中14人、心筋梗塞2人、心筋梗塞及び狭心症2人、狭心症15人）あり、このうち医療機関への診断確認調査について書面による同意を得られた23人（脳卒中13人、心筋梗塞及び狭心症1人、狭心症9人）について医療機関に対する診断調査を郵送し、12例から現在調査票が回収された状況である。　副次的結果指標については、血圧脈波検査装置（オムロンコーリン、formPWV/ABI）を用い、上腕-足首動脈脈波伝播速度を3地域を通じて1名の専従測定者によって測定した。また未受診者を対象に、心血管疾患リスクの過小評価を避けるため、死亡者、施設入所者なども対象に含め、心血管疾患発生該当者の把握を目的とし、調査票を全体で389名について郵送し、電話による聴き取り結果を併せ、318名から回答を得た。ベースライン時50歳以上の未受診者についてみると210名から回答を得られ、これを併せると3地域全体で93.3%（669人/717人）について心血管疾患発生の有無を把握できる見込みとなった。　今後、未受診者についての心血管疾患発生の情報を補完し、心血管疾患のリスク評価における骨関連指標の有効性を検討する。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本課題の対象者であるベースライン時50歳以上459人（追跡率64.0％）について、心血管疾患の発生把握と、動脈硬化指標の測定を実施した。しかし、当初計画時に対象としていた3市町中福島県Ｎ町については東日本大震災の影響で初年度の調査実施が困難となったため、平成24年度に実施することとなった。平成24年度に予定していた15年次調査未受診者への心血管発生把握のための郵送調査と、医療機関に対する診断調査を3市町については既に開始した。よって、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、対象のN町での15年次調査を10月4日～18日の期間に実施する予定で既にN町との調整は進んでいる。また、平成24年度に併せて4対象市町の心血管疾患発生該当者の把握と医療機関に対する診断調査を当初の計画通り完了させ、平成25年度には骨折・骨密度を含めた心血管疾患発症のリスク評価モデルの構築を試みる。現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

収支状況報告書の次年度使用額は、主としてN町への検査者の調査旅費および現地人件費に充てる。また、質問票印刷費および郵送料、学術的成果発表の費用を計上している。25年度は、学術的成果発表の費用を計上している。