2012 Fiscal Year Research-status Report
喫煙者の禁煙と生活習慣が酸化ストレスの状態に及ぼす影響の研究
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23590832
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
大庭 志野 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 主任研究官 (70397321)
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Keywords | 禁煙 / 酸化ストレス / ニコチン依存症 / 睡眠障害 |
Research Abstract |
禁煙外来を行う医院において、禁煙外来の治療を新規に受ける方に協力を依頼し、データ収集を行った。5施設において男性18名、女性15名の登録があった。初診時から4回の再診まで追跡し、早朝尿および随時尿の検体を収集した。また自記式質問票調査を実施し、食事の状況および普段の運動量、社会経済的状況、本人及び家族の既往歴等について確認した。 喫煙本数や喫煙年数、ニコチン依存症の有無、たばこを止めようと思った理由等の喫煙に係る要因に加え、対象者の背景要因として年齢、運動量(METS h/week)、食生活及び栄養摂取状況、婚姻の有無、就業、夜勤勤務の有無、睡眠障害の有無、について中間解析を行った。 自分の健康に問題や障害があるために禁煙外来における治療を開始した人の割合は60歳以上の人において高い傾向が示唆された。60歳未満の人においては、たばこの費用が理由として高い割合で挙げられていた。男女差を比較すると、たばこの費用を理由とする人の割合が女性には高い傾向が見られた。医師のすすめで禁煙外来における治療を始めたという人は、本調査の参加者にはみられなかった。1日あたりの喫煙本数と喫煙年数から求めるブリンクマン指数を60歳以上の人および60歳未満の人と比較したところ、大きな差はみられなかった。しかしながら60歳未満の人においては1日あたりの本数が多く喫煙年数が比較的短い傾向がみられた。喫煙年数および一日当たりの喫煙本数はともに女性において低い傾向が示唆された。一方、ニコチン依存症の度合いに男女差はみられなかった。睡眠障害は60歳以上の人に高い割合でみられ、また女性に高い割合でみられた。 データ収集は引き続き継続中であり、上記は全て研究中途の結果である。これらについて調査実施地域における関連の団体(医師会)主催の会議で中間報告を行い、調査結果のフィードバックを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
意味ある結果を得るためのn数が充分に確保されていない。データ収集を禁煙外来を行う調査実施施設に依頼しているが、協力頂ける方は禁煙外来に新規で見える方の約2割とのことである。質の高い研究をめざすため、引き続き調査に参加頂ける方の確保が課題となっている。施設訪問を頻繁に行う等連絡を密にして、n数確保に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き禁煙外来においてデータ収集を行い、解析に充分な対象者を確保できるよう努める。尿検体は超低温で保管している。酸化ストレスマーカーの8-OHdGと8-epi-PGF2α、更にクレアチニン、コチニン等の測定を行う。食物頻度分布票より各栄養素の算出を行う。さらに、早朝尿の検体で6-sulfatoxylmelatonin及びtotal flavonoidsの測定し、探索的な検討を行うことを計画している。また運動量を数値換算する。その他の指標についても解析を行うためにデータを整理する。 酸化ストレスマーカーの測定値を用い、初診時及び最終再診時の変化について、生活習慣やその他の要因を考慮した上で検討を行い、統計的な解析を行う。症例群及び対照群は特に定められていないが、多変量解析の手法を用い、年齢、肥満度や体重変化、栄養、運動、睡眠及び社会経済的状況、これまでの喫煙量及び喫煙歴等の要因について層化あるいはカテゴリー化を行い、詳細な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集は継続中であるため、事務補助員を雇用する。書類の整理等の雑務や調査実施施設および対象者との連絡業務、検体のラベル貼りや整理等の作業を依頼する。また簡単なデータ入力やデータのロジカルチェック等も担う。収集検体の回収や対象者の質問票等の書類の送付等の費用が必要である。調査に協力して頂いた対象者には5000円の図書カードを進呈している。各調査実施施設には概ね2か月ごとに訪問し、調査の状況を把握し問題点等について話し合う。質問票のデータは全て信頼のおける業者に依頼して、データ入力を行う。また、食物頻度調査票から栄養素を算出するが、これは専門の業者に委託する。データ解析のためのソフトウェアやコンピューター、記録媒体等を購入する。探索的な検討のため検体測定を検査会社に依頼する。研究成果をまとめて発表するための学会等の参加費及び旅費、そして論文執筆のための文献検索や英文校正等の費用の支出等を予定している。
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