2013 Fiscal Year Annual Research Report
珪藻のDNA-binding特性を利用した溺死診断法の開発
Project/Area Number |
23590854
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
瀬尾 泰久 大分大学, 医学部, 助教 (80187830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 哲子 大分大学, 医学部, 教授 (50136793)
内田 智久 大分大学, 医学部, 助教 (70381035)
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Keywords | 溺死 / PCRフラグメント / 酵素染色 / 珪藻 / プランクトン |
Research Abstract |
カオトロピックイオン存在下で珪藻被殻がDNAと結合する特性を利用し、マイクロタイタープレート上に珪藻被殻をトラップ後酵素染色する検出法の開発を試みた。先ず、アミノ基を導入したPCRフラグメントを作製し、このPCRフラグメントを96ウェルのプレート上に固相化した。カオトロピックイオン存在下で珪藻被殻をプレートにトラップした後ビオチン標識PCRフラグメントを用いて珪藻被殻をサンドイッチした。洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを加え、免疫組織化学用の発色基質を用いて赤色に染色し顕微鏡下で観察した。 河川や港湾から採取した淡水性、海洋性の珪藻被殻を用いて、本法における珪藻被殻のトラップ率、染色性、染色された珪藻被殻の回収率等について実験的な検討を行った。その結果、固相化するPCRフラグメントの鎖長が短いほどプレートへのトラップ率が高い傾向を示したが、最終的に染色珪藻被殻の回収率は70%程度であった。これは、非カオトロピックイオン存在下で行う染色操作により、トラップされた珪藻被殻が固相から遊離してしまうものと推測された。したがって、今後、トラップされた珪藻被殻の遊離を防ぐための改良が必要であると考えられた。 実際に溺死した死体から採取した主要臓器を濃硝酸を用いて壊機後、純水に置換した残渣を本法に適用した。その結果、各臓器から検出された染色珪藻は、通常の方法で検出される硅藻数に比較して少なかった。これは、回収率そのものが70%程度であることに加え、プレートのウェル面積が狭いために壊機残渣中の夾雑物により珪藻被殻のプレートへのトラップが阻害された結果であろうと推察された。 DNAのシリカ結合特性を利用した珪藻被殻の検出法は、新しい溺死診断法としての応用が期待されるが、今後さらに精度の向上に関する研究が必要であろうと思われた。
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