2012 Fiscal Year Research-status Report
心筋症に基づく心臓性突然死症例における原因遺伝子解析
Project/Area Number |
23590856
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 茂基 北里大学, 医学部, 講師 (70130268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
村上 千香子 北里大学, 医学部, 助教 (30433717)
入江 渉 北里大学, 医学部, 助教 (80597352)
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Keywords | 心筋症 / 心アンキリン反復タンパク / タイチン / テレトニン / 心臓性突然死 / 遺伝子解析 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
剖検時心筋症と診断された心臓性突然死症例について,サルコメア構成要素(タイチン),Z帯構成要素(テレトニン)および心アンキリン反復タンパクをコードしている遺伝子について,心肥大を伴う心臓性突然死症例およびその他特異的疾患のない突然死症例を対照として遺伝子変異解析を行い,我が国における心筋症に基づく心臓性突然死の実体を究明することを目的としている.本年度は引き続き心アンキリン反復タンパクをコードしている遺伝子ANKRD1について変異の有無を検討するとともに,テレトニン(TCAP)および一部タイチン(TTN)について変異の有無を検討した.解析資料はすでに収集されているHCM 28例,DCM 19例,ARVC 3例,対照例として心重量500g以上の心肥大を伴う突然死症例24例,その他の突然死症例(交通事故等)200例の血液および心筋である.これら資料について,NCBIデータベースより得られた塩基配列に基づきプライマーを作成し,シークエンス解析を行った.その結果,ANKRD1については心筋症症例において5ケ所の遺伝子変異とg.7260-7291領域に32bpにわたる2塩基の繰り返し配列に基づく高変異領域を検出した.TCAPでは遺伝子多型以外に心筋症発症に関わるような遺伝子変異は検出されなかった.TTNではDCMでN2A領域にミスセンス変異(V9710I)を検出した.N2A領域は心アンキリン反復タンパクとの結合部位であることから,遺伝子変異と心筋症発症との関わりについては,ANKRD1の解析と合わせ,平成25年度以降の研究にて明らかにしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は心アンキリン反復タンパクをコードしている遺伝子ANKRD1,Z帯構成要素であるテレトニンをコードしている遺伝子TCAP,さらにサルコメア構成要素であるタイチンをコードしている遺伝子TTNの一部について変異の有無を検討した.解析資料はすでに収集されているHCM 28例,DCM 19例,ARVC 3例であり,これらの遺伝子解析はほぼ予定通り終了した.また,対照例の解析も一部を残しおおむね終了したが,遺伝子変異と心筋症発症との関連については現在検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画ではサルコメア構成要素(タイチン:TTN)について検討を行う.TTN についてはANKRD1およびTCAP結合ドメインに関連するN2-A領域の一部については平成24年度に解析を行っているが,その継続とZ帯領域,さらに遺伝子変異の検出されているN2-B領域について解析を行う予定である.平成23,24年度と同様の資料を用いて遺伝子変異の検索を行い,すでに報告されている遺伝子変異が存在するかどうか,あるいは病因となり得るような新しい重大な遺伝子変異が存在するかどうか検討を行う. さらに,臨床データが得られている症例については,そのデータとの関連から,早期診断および予後の推定の可能性についても検討する.新たに追加された症例についても同様に検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するには,血液および心筋からDNAを抽出するための試薬類,遺伝子変異検出のための各種プライマー合成費用およびDNAシーケンシング用試薬類,さらにピペットチップをはじめとする消耗品等が必要であり,平成25年度研究経費はこれら試薬類の購入等に使用される.さらに平成25年度には研究成果発表のために国際学会参加のための旅費も予定している.平成24年度は一部対照資料の解析が終了しておらず,平成24年度残金はその解析のための試薬類購入に使用される.
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Research Products
(4 results)