2012 Fiscal Year Research-status Report
QTOF質量分析装置を用いたベンゾジアゼピン系薬物分析法の新展開
Project/Area Number |
23590859
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
林田 眞喜子 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60164977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 晃志 日本医科大学, 医学部, 助教 (90465344)
植草 協子 日本医科大学, 医学部, その他 (50409215)
工藤 恵子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10186405)
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Keywords | 法医中毒学 / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究は,ベンゾジアゼピン系薬物を含む剖検事例に対する包括的スクリーニング法として,LC/QTOF-MS(QTOF)質量分析装置を用いたベンゾジアゼピン系薬物ならびに代謝物の高感度・高選択的な分析法を開発することを目的とする.イオン抑制効果を含めたベンゾジアゼピン系薬物ならびに代謝物のLC-MS-MS質量データベース,QTOF精密質量データベースを作成し,ベンゾジアゼピン系薬物中毒患者試料や剖検資料へ応用する。H23年度は,ベンゾジアゼピン系薬物のプロダクトイオン理論値と実測値の標準的データをライブラリに集積,スペクトルライブラリを構築しベンゾジアゼピン系薬物トリガーMRM法を確立した.H24年度は精密質量データベースを使用するQTOFのMSMS構造相関(MSC)プログラムの包括的アプローチを検討した.QTOF分析は陽イオンモードと陰イオンモードで測定,ベンゾジアゼピン系薬物の保持時間と精密質量データベースを使用し,0.02daのマスウィンドウおよび1minの保持時間ウィンドウを備えた(M+H)+種の抽出するイオンを抽出,さらにMolecular Feature Extraction(MFE)を用いてイオンを絞り込んだ.生体試料を用いてのQTOF精密質量データベースの検出限界は10ng/ml,MFEでは5000カウント以上の化合物が識別されたが,多くの擬陽性イオンも観察された.対象薬物添加試料をQTOF測定後,MFE/6643薬物精密質量データベースによるスクリーニングを行い,MFEのパラメータを最適化することでエチゾラム、トリアゾラムの代謝物を除いた全薬物の検出が可能であった.剖検資料では,AC-RTで検出された薬物以外に新たな薬物が検出され,包括的スクリーニング法としてQTOF及びMFE/大規模精密質量データベーススクリーニング法が有効であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トリガーMRM法は各薬物の主要8イオンで再構成されたスペクトルをデータベース検索できるもので,強度の高いプリカーサーイオンとプロダクトイオン1種類の組み合わせで測定していた従来のターゲットMRM分析の弱点を補う方法である.ベンゾジアゼピン系薬物ならびに代謝物とメタンフェタミン,MDMA,モルヒネなど法医中毒学的に重要な薬物を含むトリガーMRMメソッドを作成し,剖検事例への応用を試みた.対象とする薬物についてトリガーMRM法における定量用トランジションについて対象薬物添加試料を用いて,検出限界・直線性・再現性・イオン抑制などを検討,疑似MS/MSスペクトルライブラリを構築した.今回検討した剖検事例では良好なスペクトル一致率が得られ,トリガーMRM法を確立することができた.QTOF精密質量データベース、MSMSライブラリおよびMSCプログラムを使用する包括的アプローチにトリガーMRM法を加えることにより,非常に有効であることが明確となったことから,当初の計画以上の進展が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23,24年度に得られた結果を基にして,QTOF精密質量データベース、MSMSライブラリおよびMSCプログラムを使用する包括的アプローチにトリガーMRM法を加えてベンゾジアゼピン系薬物を含む剖検事例に対する包括的スクリーニング法を最適化する.H25年度は最終年度となるため,生体試料を用いた検証を重点的に行う. すなわち,救命救急センター収容のベンゾジアゼピン系薬物中毒患者試料あるいはベンゾジアゼピン系薬物が関連した剖検資料について,LC-MS-MS質量データベースを用いたQTOFターゲット分析を行う.ベンゾジアゼピン系薬物を含む法医中毒学ライブラリを用いたQTOFターゲット分析の評価を行う.精密質量データベースとLC-MS-MS質量データベースを用いたQTOFターゲット分析の結果を比較考察し,ベンゾジアゼピン系薬物代謝物の定量性についても考察する.生体試料を用いてのQTOF/MFE分析における識別能の向上を検討し,併せてベンゾジアゼピン系薬物を含む法医中毒学ライブラリを用いたQTOFターゲット分析について総合的な評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.ベンゾジアゼピン系薬物ならびに代謝物のQTOF分析.QTOFターゲット分析のための分析メソッドの最適化.QTOF分析に適した試料抽出法の検討. 2.ベンゾジアゼピン系薬物中毒患者試料へのLC-MS-MS質量データベースの応用.救命救急センター収容のベンゾジアゼピン系薬物中毒患者試料あるいはベンゾジアゼピン系薬物が関連した剖検資料について,LC-MS-MS質量データベースを用いたQTOFターゲット分析を行う. 3.ベンゾジアゼピン系薬物を含む法医中毒学ライブラリを用いたQTOFターゲット分析の評価.精密質量データベースとLC-MS-MS質量データベースを用いたQTOFターゲット分析の結果を比較考察する.ベンゾジアゼピン系薬物代謝物の定量性についても考察する.ベンゾジアゼピン系薬物を含む法医中毒学ライブラリを用いてQTOFターゲット分析を評価する. 以上,得られた結果をとりまとめ,国内外の法医中毒学関連学会ならびに雑誌における成果の発表を行う.
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] Screening analysis for drugs of abuse by LC-MS/MS enables fast polarity switching MRM2012
Author(s)
Minohata T, Hirano I, Iida J, Kudo K, Ikeda N, Zaitsu K, Shima N, Katagi M, Tsuchihashi K, Suzuki K.
Organizer
19th International Mass Spectrometry Conference
Place of Presentation
Kyoto, Japan
Year and Date
20120915-20120921
Invited
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