2011 Fiscal Year Research-status Report
覚醒剤濫用によるアルファシンヌクレイン障害とエピジェネティックス的変化の解析
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23590861
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
王 路 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60555051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 修 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70266609)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 覚醒剤 / 神経毒性 / シンヌクレオパシー / 薬物依存 / エピジェネティックス |
Research Abstract |
本研究は、覚醒剤(methamphetamine)濫用者において、1)神経毒性によるアルファシンヌクレイン(α-synuclein)の病理学的変化であるシンヌクレオパシー(synucleinopathy)、2)薬物依存の形成におけるエピジェネティックなメカニズムについて免疫組織化学的手法により検討し、3)上記のデータから、「神経毒性」と「薬物依存」との相互関係を解析するものであり、本研究から得られた成果により、覚醒剤濫用による中神経系障害の法医病理学的診断の精度向上を目指すものである。 覚醒剤濫用者の症例(14例)及び対照群の脳より、中脳(黒質)、線状体(側坐核、被殻及び尾状核)、海馬、前頭葉等の部位を切り出し、組織切片を作成した。中脳及び線状体について、α-シンヌクレイン抗体を一次抗体として、さらにプロテナーゼKによる前処理群と未処理群にわけて免疫組織化学的染色を行ったところ、覚醒剤濫用者群において、陽性像を認めた。また、リン酸化α-シンヌクレイン抗体についても同様の所見が得られた。さらに、神経細胞及びグリア細胞のマーカーとの二重染色により、α-シンヌクレインの局在が、神経細胞にあることが明らかとなった。 覚醒剤の長期濫用は、酸化ストレスによるドーパミン作動性マーカーの障害やグリア細胞の反応等の神経毒性を引き起こすことが明らかになっているが、本研究により、α-シンヌクレインの病理学的変化が、覚醒剤濫用者の病態に関与する可能性が示唆され、覚醒剤濫用の法医病理学的診断に寄与するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における目的のひとつである、覚醒剤による神経毒性とシンヌクレオパシーとの関連について明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
覚醒剤による神経毒性については、防御機構と考えられているγ-シンヌクレインの発現について解析する。また、α-synucleinとユビキチンとの相互作用を検出する。さらに、エピジェネティックなメカニズムについては、転写因子であるmethyl CpG binding protein 2及び神経栄養因子の免疫組織化学的染色により解析を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
覚醒剤乱用者の脳における、α-synucleinとユビキチンとの相互作用を検出するため、Proximity Ligation Assay (PLA)法を用いる。また、エピジェネティクなメカニズムを解析するために、免疫組織化学的にmethyl CpG binding protein 2を染色する。染色像は、デジタル画像として取り込む。取り込んだ画像は、染色の強度、陽性細胞数、α-synucleinとユビキチンとの相互作用等を画像解析ソフトにより解析を行う。 以上の研究計画により、組織切片に必要な消耗品、免疫組織化学的染色に必要な抗体及び染色キットに研究費を使用する。さらに、情報収集や研究成果の発表を行うので、旅費を使用する。
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