2013 Fiscal Year Annual Research Report
剖検例の中毒学的検査を利用した静脈内投与薬物の胃内移行量の解明に関する研究
Project/Area Number |
23590864
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
守屋 文夫 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (40182274)
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Keywords | 社会医学 / 法中毒学 / 静脈内投与薬物 / 塩基性薬物 / メタンフェタミン / 胃内分泌 / ガスクロマトグラフィー / ガスクロマトブラフ‐質量分析法 |
Research Abstract |
本年度は、法医解剖234例を対象に、医療機関において死亡が確認された事例および医療機関外で静脈内に薬物を投与したことが疑われる事例について、血液、胃内容および尿の薬物分析を実施した。昨年度と同様に、胃内容と尿のイムノアッセイ(Triage DOA)を実施した後、GC-FTDとGC-MSによる薬物のスクリーニング、確認および定量を行った。捜査当局からインフォームド・コンセントの下に提供された医療機関等での薬物使用状況を詳査し、薬物分析結果を評価した。本年度も、医療機関を経た事例では、気管内挿管に由来するリドカインが検出される割合が多かった。しかし、気管内挿管に由来するリドカイン検出例は、口腔内や咽頭部に付着したリドカインの嚥下の問題があり、静脈内から胃内への薬物排泄動態を評価することは困難であるので、本研究の対象から外した。本年度は、本研究の対象となりうる事例が5例認められた。いずれも検出された塩基性薬物は乱用薬物のメタンフェタミンであり、医療時に静脈内投与された治療薬は認められなかった。当該事例の胃内容量は70~400 mlであった。メタンフェタミンの胃内容濃度と血中濃度はそれぞれ0.132~47.6 mcg/ml(全量:0.009~10.5 mg)および0.105~4.18 mcg/mlであり、胃内容/血中濃度比は1.38~58.8であった。メタンフェタミンの投与時期が明らかなものと不明なものが混在していたが、10 mgを上回る大量のメタンフェタミンが胃内に排泄されうること、また、メタンフェタミンの胃内容/血中濃度比は、1をやや上回る程度のものから大幅に上回るものまで広範にわたっており、死亡過程に大きく影響されることを実証した。
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