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2011 Fiscal Year Research-status Report

出血性ショック時の腎臓障害における出血速度の影響について

Research Project

Project/Area Number 23590865
Research InstitutionUniversity of Occupational and Environmental Health, Japan

Principal Investigator

佐藤 寛晃  産業医科大学, 医学部, 准教授 (50441845)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 田中 敏子  産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
笠井 謙多郎  産業医科大学, 医学部, 助教 (40169397)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords出血性ショック / 出血速度 / アドレナリン / ノルアドレナリン / バソプレッシン / アシドーシス
Research Abstract

ラットの左大腿動脈にカテーテルを挿入したのち出血させないSham群および全血液量の25%を,5分,20分および60分かけて出血させる群を併せた計4群のラット出血性ショックモデルを作成した。出血5時間後まで継続的に動脈圧を測定つつ,出血1,3および5時間後の動脈血液ガス,血中のアドレナリン,ノルアドレナリン,アルドステロン濃度および腎臓障害(血清BUNおよび血清クレアチニン濃度)を測定した。 出血させた群では出血直後の動脈圧は大きく低下し,その後徐々に上昇するものの,動脈圧の上昇の程度は出血速度が遅い群ほど小さく血圧が低値のままであった。出血後の血中アドレナリン,ノルアドレナリンおよびアルドステロン濃度の上昇は,出血速度が遅い群ほど少なく,アシドーシスや腎臓障害も出血速度が遅い群ほど進行していた。Sham群では全経過を通じて,血圧や上記ホルモンの変化および腎臓障害は認められなかった。 本結果から,出血速度が遅いと,出血後のアドレナリン,ノルアドレナリンおよびアルドステロンなどによる神経性・体液性循環調節による血圧回復機能が低いままであるため,出血後の低血圧状態からの回復が鈍く,低血圧状態が持続するためにアシドーシス,血清BUNおよび血清クレアチニン濃度の上昇などの腎臓障害が進行すると考えられた。この結果は,出血速度が速いほど臓器障害が強くなるという,一般的な考えとは異なっており,出血性ショックによる臓器障害の病態を検討する上で,出血速度が重要な要因になることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究計画の通り,本年度では,出血性ショック後の腎臓障害に出血速度が関係していることを明らかにすることができ,さらに,その病態メカニズムにアドレナリン,ノルアドレナリンおよびアルドステロンなどのホルモンが関係していることが明らかとなった。本結果は,次年度以降の研究,すなわち出血速度の違いによる腎臓障害の病態メカニズムの解明を遂行する上で,基礎となる結果である。同時に,来年度以降の研究のためのサンプル(腎静脈血液および腎臓)採取も行うことができた。 したがって,現在の時点では,本申請研究はおおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

出血性ショック後の臓器障害の増悪に,TNF-αおよびIL-1βなどの炎症性サイトカインの発現と,それに伴う好中球などの炎症性細胞の発現の関与が報告されている。そこで,腎臓における炎症性サイトカインの発現をRT-PCR法およびELISA法によって測定し,さらに,好中球をMPO染色を用いて明瞭にしたのち画像解析装置を用いてその出現率を測定し,出血速度の違いによる腎臓障害と炎症性サイトカイン発現や好中球出現との関係を明らかにする。 これらの結果を解析し,出血速度と出血性ショック後の腎臓障害との関係について明らかにするとともに,好中球の出現頻度が,出血性ショックの形態学的診断マーカーになりうるかについても検討を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は,炎症性サイトカインの発現を測定するためのRT-PCR法およびELISA法に用いる試薬,免疫組織学的検討を行うための試薬を使用する予定である。また,必要に応じて出血性ショックモデルによる追加実験を行うためにラットを使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 出血性ショックにおける多臓器不全の発生メカニズム(第八報)-出血速度の影響について-2011

    • Author(s)
      佐藤寛晃
    • Organizer
      第95次日本法医学会学術全国集会
    • Place of Presentation
      コラッセふくしま(福島県)
    • Year and Date
      2011年6月16日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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