2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝細胞を用いた乱用薬物代謝物解析システムの構築
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23590866
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
金森 達之 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40356192)
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Keywords | 乱用薬物 / 代謝予測 / 肝細胞 / 三次元培養 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までの検討結果を踏まえ、肝細胞三次元培養キット「Cell-able」による各種薬物の代謝実験を行い、得られた代謝物生成パターンデータを実際のin vivo(生体内)代謝データと比較し、本キットの乱用薬物代謝予測系としての有用性について検証を行った。 まず、幻覚発現作用を有する乱用薬物である2C-T-2、2C-T-4及び2C-T-7(いずれも麻薬)について、本キット(ラット肝細胞使用)による代謝実験を行い、これらの薬物のラット尿中排泄データと比較した。その結果、2C-T-2、2C-T7については、尿中に最も多く排泄される代謝物が、本キットにおいても最も多く生成するなど、実際の生体内での代謝パターンを本キットにより良好に再現することができた。一方、2C-T-4については、本キットによる代謝物生成パターンと尿中排泄パターンの間に差異が認められたものの、尿中に排泄される主代謝物はいずれも本キットにより生成されることが確認された。 また、合成カンナビノイド(いわゆる「脱法ハーブ」の含有成分)の一種であるXLR-11について、本キット(ヒト由来細胞使用)による代謝実験を行い、実際のXLR-11使用者の尿中排泄データと比較した。その結果、XLR-11使用者の尿中に、XLR-11以外の化合物の代謝物が排泄されていることを示唆するデータが得られ、さらに詳細な検討を行ったところ、尿中にXLR-11熱分解物の代謝物が主に排泄されていることが確認された。すなわち、使用者がXLR-11を含有する脱法ハーブを吸煙する際に、XLR-11の大部分が熱分解し、生じた熱分解物が体内に摂取され、代謝を受け、排泄されたものと考えられた。 以上の結果より、本研究で使用した肝細胞三次元培養キットは、乱用薬物の生体内での代謝を予測するためのツールとして極めて有効であることが確認された。
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[Presentation] In vitro metabolism study of designer drugs using a hepatocyte spheroid array kit
Author(s)
Kanamori, T., Yamamuro, T., Kuwayama, K., Tsujikawa, K., Iwata, Y.T., Inoue, H.
Organizer
10th International ISSX Meeting
Place of Presentation
トロント(カナダ)
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[Presentation] Hepatocyte spheroid array kit as a tool for predicting in vivo drug metabolism
Author(s)
Kanamori, T., Yamamuro, T., Kuwayama, K., Tsujikawa, K., Iwata, Y.T., Inoue, H.
Organizer
PITTCON 2014
Place of Presentation
シカゴ(アメリカ)
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