2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590876
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 幸代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50335171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 尚登 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50166724)
高橋 正洋 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30548194)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん患者の精神症状 / 向精神薬 |
Research Abstract |
平成23年度は、滋賀県下の総合病院において、緩和ケア領域における抑うつ状態、せん妄の発症調査を開始し、現在も継続中である。 また、滋賀県下の計11のがん拠点病院を含む総合病院の緩和ケア担当医師、看護師などを対象に、がん患者の精神症状の対応に関するアンケートを依頼した。がん患者が精神科医の診察を受けられない3病院では、傾聴、向精神薬投与、精神科に紹介などの対応がとられていた。また、75%の医師が薬剤選択や副作用などに困難さを感じており、約90%の医師と看護師が院内体制の充実、約半数の医師が院外での連携の必要性を感じていた。滋賀県下のオンコロジストを対象に対する調査(79名)では、精神症状に対して66.2%が傾聴、61%が精神科受診を勧めるなどの対処法をとっていた。せん妄に対しては、家族を呼ぶ(75.3%)が薬剤投与(88.3%)に次いで多かった。せん妄を疑う症状は、不穏(83.3%)、見当識障害(67.9%)が多く、せん妄に対して6割以上の医師が自ら薬剤を処方しており、ハロペリドールの静脈内投与が95.2%と最多であった。抑うつを疑う症状は、患者が死にたいと言う(71.8%)であり、次いで不安(65.4%)、元気がない(60.3%)、不眠(50%)であった。抑うつに対して、自ら薬剤を処方する割合が1割以下の医師が52%とかなり多く、がん患者の抑うつの初期治療がせん妄と比較して、遅れている可能性が示唆された。薬剤ではエチゾラムが54.5%と最多で、次いでドグマチール36.4%であった。また、せん妄、抑うつのいずれの場合も精神科医に依頼したい内容は、対処法と治療が8割以上であった。さらに、がん患者の向精神薬の適正使用のため、向精神薬血中濃度測定法を確立し、予備的に患者の抗うつ薬血中濃度を測定した。また向精神薬による認知機能への影響を測定するために予備的調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん患者に対して抗うつ薬や抗精神病薬を投与する際の、用量、血漿中濃度と効果・副作用の関係を検討することを計画していたが、現状では、同意を得ることが困難な場合が多く、少数の予備的研究を行っている状況である。原因としては、がんが進行している患者でせん妄や抑うつが発見されることが多いため、すでに身体症状がかなりの苦痛となっている患者に、さらに研究目的の機器をつけたり、質問による症状評価を繰り返すなどの行為が苦痛になるためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、早期に抑うつやせん妄を発見するために、発症前の患者に対してスクリーニングを行うこととし、その時から患者に研究への理解を得ていく方向を目指していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は引き続き、向精神薬の血中濃度の測定と、向精神薬による認知機能、活動性の評価を行う予定であるが、その際に実験補助業務を行う者に謝金として人件費を支払う予定である。また、昨年度の滋賀県下の緩和医療医、一般腫瘍内科医、外科医、緩和ケア関連看護師を対象に行ったアンケート調査の結果を、日本緩和医療学会、サイコオンコロジー学会に発表し、海外の学会でも発表するための旅費、論文作成にあたっての査読費用などに利用する予定である。
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Research Products
(2 results)