2012 Fiscal Year Research-status Report
1型糖尿病免疫寛容モデルでの樹状細胞の病原体感知センサーの役割と臨床応用の検討
Project/Area Number |
23590880
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安田 尚史 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50403233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横野 浩一 神戸大学, その他部局等, その他 (50144580)
原 賢太 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70397826)
明嵜 太一 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (80467662)
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Keywords | 1型糖尿病 / 免疫寛容 / 樹状細胞 / 病原体感知センサー |
Research Abstract |
Inslin 1欠損NODマウス及びInslin 1&2欠損改変ヒトInslin移入NODマウスが1型糖尿病(T1D)発症を完全に抑制することよりinsulinがprimaryな自己抗原であること、また、preproinsulinのシグナルペプチドがT1D発症抑制や治療に有効で、NODマウスの骨髄由来制御性樹状細胞(DC)がT1D発症抑制に有効であることも我々は見出した。今回、これらの免疫寛容誘導モデルやT1Dの免疫寛容モデルを用いて、DCの病原体感知センサーである病原体感知分子(TLRなど)の観点から免疫寛容機構の解明を試み、将来のワクチン療法などのT1D治療の開発を目指す。 T1Dの免疫寛容モデル:①NOD-lpr/lprマウス(Fas分子自然欠損) ②Ins1KO-NODマウス(Inslin 1欠損) ③DC投与NODマウス ④preproinsulin L7-24投与NODマウス T1Dの疾患モデル:①NODマウス(自然発症モデル) ②cyclophosphamide(CY)誘導糖尿病モデル(薬剤誘発モデル) ③NY8.3NODマウス(膵β細胞抗原(IGRP)特異的CD8T細胞クローンのT細胞受容体Tgマウス, 発症促進モデル) (成果)NODマウスでのT1D発症を促進するCY誘導糖尿病モデルに対して、 1)NOD-lpr/lprマウス(免疫寛容モデル)、NOD-lpr/lprマウス由来DC投与NODマウス(免疫寛容モデル)及びIns1KO-NODマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与にてもT1D発症は抑制された。2)preproinsulin L7-24投与NODマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与にても発症抑制が示唆された。また、TLR3 agonistのpoly(I:C)投与NODマウスでは糖尿病発症が抑制されるが、高用量投与では糖尿病発症を促進することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数種類の1型糖尿病発症を認めない免疫寛容モデルマウスの系統維持を図りつつ実験に使用している。その中で、マウスの飼育数の制限により実験に制約ができるため、実験の進行がやや遅れる結果となっている。また、多くの研究分担者の異動があったことも研究の遅延に若干影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
preproinsulin L7-24投与NODマウス(免疫寛容モデル)においては、CY投与でも糖尿病発症の誘導が抑制できる可能性が見出された。この結果、免疫寛容状態が維持できたモデルに対して、今後、DCの病原体感知センサーのagonist投与にてDC活性化を行い、免疫寛容を破綻できるかどうかを検討していき、病原体感知分子(TLR,RLR,NLR,CLR)の観点から免疫寛容機構の解明を試みる。 DCの病原体認識分子を介したDC活性化因子:細胞外病原体を認識する病原体センサーTLRsやCLRsや細胞内病原体を認識する病原体センサーRLR(RIG-IやMDA5など)やNLRのagonistなどを用いて検討している。特に、TLR3のagonistでRIG-IやMDA5のagonistでもあることが示唆されているpoly(I:C)をNODマウスに対して低用量で投与した場合は糖尿病発症を抑制するが、高用量で投与すると糖尿病発症を初期には促進する傾向が得られている。以上より、他の免疫寛容モデルマウスでも高用量では免疫寛容を破綻できるか検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は研究分担者の異動などにより若干実験の物品費の使用が少なく、次年度使用額が生じる結果となった。次年度は、免疫寛容モデルマウスの飼育費、実験のための物品費、研究発表のための旅費、学会費、及び論文作成や投稿費に使用する請求研究費と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(8 results)