2011 Fiscal Year Research-status Report
軽度パーキンソン徴候から認知症・パーキンソン病への進行に関する縦断的疫学研究
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23590881
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中島 健二 鳥取大学, 医学部, 教授 (70144673)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / 認知症 / パーキンソン病 / パーキンソン症候群 / 軽度認知障害 / 軽度パーキンソン徴候 / うつ / 運動機能 |
Research Abstract |
認知症やパーキンソン病(PD)が急増し、その治療法、予防法の開発が求められている。最近、認知症予防の観点から認知症の前駆段階として軽度認知障害(MCI)が注目されていると共に、軽度の運動症状である軽度パーキンソン徴候(mild Parkinsonian signs:MPS)などがPDや認知症の前駆段階である可能性が指摘されている。我々は、島根県海士町において調査し、MPSの頻度を本邦で初めて明らかにした(Uemura Y, et al. J Neurol Sci 2011)。本研究においては、これらのMCIやMPS、うつなどを示す住民がどのような転帰を示すかを確認して認知症やPDへの進行を調査する縦断的疫学研究を行う。本研究の目的は、これら前駆症状と考えられる状態からその後の転帰を明らかにし、認知症・パーキンソン症候群の発症予防、早期発見、進行予防へ向けての基盤研究を行うことにある。平成23年度においては、下記を実施した。1) アンケート調査うつ、自覚的なもの忘れ、やる気、睡眠障害、むずむず脚症候群、レム期睡眠行動異常症などに関するアンケート調査を60歳以上の町民に対して実施し、1109人中902人で回収した(回収率:81.3%)。アンケート結果データのコンピュ-タ入力をすでに終了した。うつが24%、アパシーが53%、睡眠障害が27%、日中の眠気が6%、レム期睡眠異常症が6%、むずむず脚症候群が2%であった。現在、アンケート結果についてさらに解析中である。2) 住民検診、神経学的診察住民健診により神経学的診察を行ない、認知症、PD・パーキンソン症候群、MCI、MPSなどを有す住民の把握を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究の初年度研究として予定していた主な研究は、1) 海士町全町民を対象としたアンケートを実施する、2) 住民健診や在宅訪問などにより住民の診察を行って、新たな発症者を把握したり以前MCI・MPSなどと診断していた住民のその後の変化を確認することであった。なかでも、アンケート実施が平成23年度の最重要課題であり、回収率81.3%と高率に回収できた。今後行うアンケートの詳細な解析、平成20年度に実施したアンケート結果との比較、認知症、PD・パーキンソン症候群、MCI、MPSなどとの関連性を検討するための基礎データが得られた。また、住民健診や在宅訪問による町民診察も順調に実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)海士町における疫学調査に関して以下を実施する。(1) 平成23年に実施したアンケート結果について平成20年度に実施したアンケートと比較し、運動機能障害の程度により、うつ、睡眠障害などがどう変わっているかを解析する。(2) 住民健診・訪問調査などにより町民診察を行い、認知症、パーキンソン病の発症を確認し、また、MPS、MCI、うつなどの町民がどう変化するかを検討する。(3) アンケート調査で明らかになった睡眠障害・うつと診察により明らかになった認知機能、平成22年に行った頭部MRI検査データ、MPSから認知症やPD・パーキンソン症候群への進行などとの相互の関連性について検討する。2) 平成24年度からは、海士町のみならず、鳥取県江府町においても調査研究を実施し、日本海の孤島である海士町と山間部である江府町を比較する疫学研究も展開する。平成23年度に海士町で実施したアンケート調査を、平成24年度に江府町においても実施し、在宅訪問などによる町民の診察をも展開する。3)血中関連物質解析による診断マーカーの検討も行う。なお、平成23年度の研究において、150万円のうち930円残した。上記研究実施のために合わせて使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、研究経費を下記に使用する。なお、平成23年度の発注が間に合わなかったため、930円が残ってしまった。余剰金を平成24年度に使用して以下の研究を行う。1) 海士町調査においては、(1) アンケートの解析、(2) 検診・訪問などに関わる旅費・宿泊費、(3) 平成22年に行った頭部MRI検査データの解析、などに支出する予定である。2) 江府町調査においては、(1) アンケートの実施とその解析、(2) 検診・訪問などの旅費、などに支出する予定である。3) 血液収集と診断マーカーの検討のために、採血や、測定キットなどを含めた測定用消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(16 results)