2012 Fiscal Year Research-status Report
軽度パーキンソン徴候から認知症・パーキンソン病への進行に関する縦断的疫学研究
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23590881
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中島 健二 鳥取大学, 医学部, 教授 (70144673)
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Keywords | 高齢者 / 認知症 / パーキンソン病 / パーキンソン症候群 / 軽度認知障害 / 軽度パーキンソン徴候 / うつ / 運動機能 |
Research Abstract |
高齢社会となって認知症やパーキンソン病(PD)が急増している。認知症の前駆段階としての軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)が注目されているが、軽度パーキンソン徴候(mild Parkinsonian signs:MPS)がPDや認知症の前駆段階である可能性も指摘されている。我々は、島根県海士町において調査し、MPSの頻度を本邦で初めて明らかにし(Uemura Y, et al. J Neurol Sci 2011)、さらに、運動障害(MPS)、うつ、認知機能が相互に関連していることを報告した(Uemura et al. Acta Neurol Scadnd 2013)。本研究においては、MCIやMPS、うつなどを示す住民がどのような転帰を示すかを確認して認知症やPDへの進行に関する縦断的疫学研究を進めており、平成24年度においては、下記を実施した。 1) 平成23年度に行ったアンケートの解析 23年度に行った60歳以上の町民に対するアンケート調査(902人/1109人、回収率:81.3%)についての解析を進めた。うつが24%、アパシーが53%、睡眠障害が27%、日中の眠気が6%、レム期睡眠異常症が6%、むずむず脚症候群が2%であった。運動習慣のある人はない人と比較してうつや意欲低下が著明に少なく、運動習慣がある人はない人と比較して平成20年から平成23年にかけて睡眠障害が改善し、独居の住民はそうでない住民と比較してうつや意欲低下が多い、といった結果が得られた。 2) 住民検診、神経学的診察 住民健診により神経学的診察を行ない、認知症、PD・パーキンソン症候群、MCI、MPSなどを有す住民の把握を行ない、パーキンソン症候群や認知症への進行について調査した。また、パーキンソン症候群、MPS群では死亡率が高いことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究の2年度目の研究として、予定していた主な研究としては、1) 海士町町民を対象とした健康に関する住民アンケートの解析、2) 海士町と江府町の住民健診や在宅訪問などにより住民の診察を行い、新たな発症者を把握すると共に、MCI・MPSなどと診断していた住民のその後の変化を確認することであった。下記の研究を実施し、ほぼ計画通りに進展していると考えられる。 1) 平成23年度に実施したアンケートの解析を進めた。運動習慣とうつ・意欲低下、睡眠障害などとの関連性を確認した。また、独居とうつ・意欲低下などとの関連性についても明らかにした。 2) 平成24年度には鳥取県江府町においてもアンケート調査を実施した。すでに実施している日本海の離島である島根県海士町の結果と比較検討し、農山村である江府町との差を明らかにして、認知症やパーキンソン症候群、それらの進行に関する課題などを抽出する検討に向けての準備を進めた。 3) 海士町において、住民健診や在宅訪問による町民診察も順調に実施できた。認知機能、運動機能、うつの変化について評価した。また、平成20年から24年までの海士町における死亡率についても検討した。 4) 江府町においても、住民健診や在宅訪問による調査を開始し、認知症住民の把握を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 海士町における疫学調査 ①平成23年に実施したアンケートの解析を進め、平成20年度に実施したアンケートと比較し、運動機能障害の程度により、うつ、睡眠障害などがどう変わっているかを解析すると共に、MCI・MPS・認知症・パーキンソン症候群などの発症者の特徴を明らかにする。②住民健診・訪問調査などによる町民診察を行い、認知症、PDの発症を確認し、また、MPS、MCI、うつなどから認知症・パーキンソン症候群への変化を確認する。③パーキンソン症候群、MPSにおいて死亡率が高かったところから、それらの死亡原因に関しても調査する。④アンケート調査で明らかになった睡眠障害・うつと、診察により明らかになった認知機能、平成22年に行った頭部MRI検査データ、MPSから認知症やPD・パーキンソン症候群への進行などとの相互の関連性について検討する。 2) 平成24年度から開始した鳥取県江府町における疫学調査 ①平成24年度に実施したアンケート調査に関する解析を進める。②検診や在宅訪問などによる町民の診察を進め、MCI・MPS・認知症・パーキンソン症候群などについて調査する。③海士町と江府町の調査結果の比較検討を行う。 3) 診断バイオマーカーや進行予測バイオマーカーの開発に向けて、血中関連物質解析による診断マーカーの検討も引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては、研究経費を下記に使用する。 1) 海士町調査においては、① アンケートの解析、② 検診・訪問調査などに関わる旅費・宿泊費など、③ 平成22年に行った頭部MRI検査データなどの解析に支出する予定である。 2) 江府町調査においては、① アンケートの解析、② 検診・訪問調査などの旅費等に支出する予定である。 3) 血液収集と診断マーカーの検討のために、採血や、測定キットなどを含めた測定用消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Multicentre population-based dementia prevalence survey in Japan:a preliminary report2012
Author(s)
Ikejima C, Hisanaga A, Meguro K, Yamada T, Ouma S, Kawamuro Y, Hyouki K, Nakashima K, Wada K,Ymada S, Watanabe I, Kakuma T, Aoyama Y, Mizukami K, Asada T
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Journal Title
Psychogeriatrics
Volume: 12
Pages: 120-123
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Epidemiological Survey of Frontotemporal Lobar Degeneration in Tottori Prefecture, Japan2012
Author(s)
Wada-Isoe K, Ito S, Adachi T, Yamawaki M, Nakashita S, Kusumi M, Hiroe Y, Takada T, Watanabe K, Hikasa C, Nakashima K
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Journal Title
Dementia Geriatric Cognitive Disorders Extra
Volume: 2
Pages: 381-386
DOI
Peer Reviewed
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