2011 Fiscal Year Research-status Report
神経性食欲不振症の低栄養が脳機能・消化吸収能・代謝機能へ与える影響の客観的評価
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23590884
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河合 啓介 九州大学, 大学病院, 講師 (80325521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 千春 九州大学, 大学病院, 教授 (80117100)
吉浦 敬 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40322747)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経性食欲不振症 / 低栄養状態 / 脳機能 / 代謝 / 摂食関連ペプチド |
Research Abstract |
入院治療を行う神経性食欲不振症患者(AN)に対して、精神状態や栄養状態について、客観的指標を治療前後で測定し、やせが心身に及ぼす影響や治療抵抗群の特徴を明らかにして、心身両面からの有効な治療法の確立を目指すことが研究の目的である。今年度の研究実績(1)機能的核磁気共鳴画像(functional MRI: fMRI)及び脳磁図(Magnetoencephalography: MEG)の研究:MRIは7名の遷延したAN患者で拡張テンソル(DTI)、エコ-プランナー(EPI)を測定した。ほぼ全例大脳皮質の萎縮を認めた。退院時萎縮は軽度改善していた。DTIとEPIは症例数の増加後、解析予定である。脳磁図の研究は準備段階として10例の治療前後のAN患者の覚醒時脳波を測定して、周波数解析中である。覚醒脳波を極度の低栄養時に施行すると、刺激反応において、健常コントロールと周波数と振幅に違いがあることが明らかになった。今後、これらの結果は脳磁図の研究プロトコールを作成する資料にも用いる予定である。これらの解析による低栄養が認知機能に及ぼす影響を今後明らかにする予定である。(2)摂食関連ペプチドや体組成の研究脳機能画像検査とともにAN10 名について、入院時、6週間後、10週間後、退院時に体組成・摂食関連ペプチドを経時的に測定した。BMI 12.5 kg/m2以下の群では、低栄養からの回復の時期は、主に除脂肪が増加、脂肪やレプチンの増加は抑えられる。可溶性レプチンレセプターや活性化グレリン、不活化グレリンは経時的に低下していた。さらに、栄養療法時に使用する栄養素の内容の違いで摂食関連ペプチドの血中濃度に違いが認められた。科学的根拠のあるより有効な栄養療法の開発をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年間の予定症例数は30例である。初年度で10例近くの評価が終了した。さらに現在、測定中の症例が数例あるため研究はおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方法は確立しているため、二年度は、脳機能画像・摂食関連ペプチド・体組成ともに症例数の増加を進める予定である。脳波検査では覚醒刺激の結果をまとめ、脳磁図での刺激内容を確定して脳磁図の測定を開始する。摂食関連ペプチドについては、新たにオキシトシン(子宮の収縮作用に加え、愛情や信頼と関連があると最近報告されている)の測定を追加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MRI 脳磁図使用料(20万 学内の施設を利用。コントロール群の使用料も含む)オキシトシン等の摂食関連ペプチドの測定用: 蛍光測定法のフィルター320nm マイクロプレートリーダー用のフィルター450nm の二点を新たに購入(計17万円)。摂食関連ペプチドや微量元素等の測定(市販キット購入及び業者委託 計 60万)研究成果発表のための旅費 (約21万)。印刷費・関連書籍購入費(約5万)
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Research Products
(5 results)