2013 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患患者末梢白血球の環状テロメアDNAの定量によるゲノム老化の評価について
Project/Area Number |
23590885
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 豊樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (30264112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 直樹 九州大学, 大学病院, 教授 (60157170)
小柳 雅孔 九州大学, 大学病院, 助教 (00325474)
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Keywords | テロメア / 老化 |
Research Abstract |
我々は疾患における体細胞テロメア長関連因子を追跡し、そのゲノム老化性変化で捉えようとしてきた。このため平均テロメア長、テロメア長の分布、サブテロメア領域のメチル化の程度、テロメア短縮に伴う環状テロメアDNA量の4因子を測定して、細胞の老化速度の測定を試みてきた。培養ヒト血管内皮細胞で、老化促進因子として低線量X線照射で処理した場合と過酸化水素添加の処理を行った場合で、テロメア変化が異なり、前者では短いテロメアが減少し、後者では短いテロメアが増加した。すなわち、X線照射は短いテロメアを含む老細胞減らす効果が強い一方、過酸化水素は、細胞死滅よりも細胞全体にテロメア短縮効果が強いことが示された。前者では、平均テロメア長は変わらないかむしろ長くなる場合があり、これまでの老化パターンと異なることが判ってきた。見方をかえると、2種類の老化パターンがあるといえる。そして、臨床例でも、パーキンソン病やアルツハイマー病がX線パターンに属し、糖尿病、虚血性心疾患、サルコイドーシス、日常の強いストレス、喫煙などは、過酸化水素パターンにあたる。これらのことは、前者では平均テロメア長の短縮では、老化の程度を把握できない場合があることと、テロメア環状DNAの増加といった定量的側面の追跡は、その測定が困難さ以前に、それだけでは、この二つの老化を区別することが不可能であることも判った。最終的に、老化の程度は長い領域のテロメア量の減少に反映され、二つのパターンの区別は、短い領域の増加、減少の別により区別できると考えられた。そして、長短それぞれの領域のサブテロメアのメチル化は、その補助データとして使えることが判った。 今回の研究は、最終的に体細胞レベルのテロメア長分布、すなわち若年細胞集団と老年細胞集団の相対的推移を追跡することが、疾病における老化促進をゲノムレベルで捉えることにつながることを示したと言える。
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Research Products
(10 results)