2011 Fiscal Year Research-status Report
漢方薬「排膿散及湯」のMRSA重症感染症に対する有効性の解析
Project/Area Number |
23590889
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
南 正明 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70418739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 忠男 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10314014)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 漢方薬 / ブドウ球菌 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌は、様々な菌体外毒素を分泌し、様々な重症感染症を引き起こす病原細菌である。この中で特に問題となるのが多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌(MRSA)であり、新規治療薬の開発が望まれている。排膿散及湯は江戸時代の漢方医吉益東洞の作成した吉益東洞経験方に記載のある処方であり、患部が発赤、腫脹して疼痛をともなった化膿症が適応である。この排膿散及湯の適応疾患が、MRSAを含む黄色ブドウ球菌による化膿性感染症疾患に一致するため、排膿散及湯がMRSA感染症治療薬となりうることが予想された。そこで今回我々は排膿散及湯のMRSA重症感染症に対する効果について、排膿散及湯の直接的な抗菌効果、排膿散及湯の菌体外毒素分泌の抑制効果、排膿散及湯投与マウスのMRSA感染に対する影響について検討を行った。排膿散及湯のMRSA株に対する抗菌効果を微量液体希釈法で測定した。排膿散及湯を添加した、LB液体培地でMRSA株を1日培養し、培養上清をろ過濃縮して、二次元電気泳動法で分離されたタンパク質のスポットの増減の変化を比較検討した。MRSAを感染させた3週齢ICRマウスを用いて、経口的に排膿散及湯を投与した場合としない場合とでMRSA感染に対する治療効果を生存率の差で比較した。投与期間はMRSA感染前日から、感染3日後までとした。また局所感染の評価は、感染マウスの潰瘍径の大きさで比較検討した。排膿散及湯1g/Lの濃度でもMRSA菌株の抗菌活性は認めなかった。二次元電気泳動では、排膿散及湯を添加したLB液体培地では、無添加培地と比較して、菌体外毒素の量が減少していた。排膿散及湯投与マウスでは、無投与マウスと比較して、生存率の上昇、皮膚潰瘍径の減少を認めた。排膿散及湯は抗菌剤とは別の観点からのMRSA感染症の治療法の一つとなりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度施行予定の、排膿散及湯の薬剤感受性、タンパクマッピング、動物による感染実験で当初の予想通りの結果がでている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、動物実験の再確認、抗菌剤と排膿散及湯の比較実験、排膿散及湯投与動物由来のマクロファージの貪食能の実験を予定通り施行していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、動物実験の再確認、抗菌剤と排膿散及湯の比較実験、排膿散及湯投与動物由来のマクロファージの貪食能の実験を予定通り施行していく予定である。
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