2011 Fiscal Year Research-status Report
線維筋痛症患者への心理教育ガイドラインの作成とその実証的研究
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23590893
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
金 外淑 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (90331371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正人 日本大学, 医学部, 教授 (60142501)
松野 俊夫 日本大学, 医学部, 講師 (20173859)
住吉 和子 岡山県立大学, その他部局等, 准教授 (20314693)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 線維筋痛症 / 認知行動療法介入 / 介入モデル / 患者家族 |
Research Abstract |
【目的】線維筋痛症(以下FM)の痛みは、患者自身にも理解しにくい状況の中で、突然の激しい痛みに襲わることが多く、痛みを家族と共有できない難しさがある。初年度の研究では、線維筋痛症に対する認知行動療法(以下CBT)を用いた介入プログラムに参加している患者を対象に、介入の有効例と中断例における患者の特性、性格、環境など把握し、家族との生活再構築に向けた心理教育的支援の具体的な介入モデル及び、患者家族への介入・支援の重要性を明確化することを目的とした。【方法】FM患者42名を対象とし、家族に対するニーズおよび家族の状況についての質問項目収集のために、自由記述による予備調査を行った。これらの調査および面接で得られた内容と先行研究に基づき、医療チームとの検討・協議の上、内容的妥当性を確認し、FM患者:62名(男性2名、女性24名、平均年齢51.50、SD=11.55、有効回答率92.00%)を対象として調査を行なった。さらに、患者の痛みの現れ方などを詳細に分析し、介入の共通点や相違点を探り、CBT介入を行う際に留意すべき点、痛みに影響する諸問題を検討した。【結果と考察】FM患者は特有の痛みを訴えるとともに複数の問題を抱えていたが、家庭内の力動(親子や夫婦間など)から生じる葛藤や人間関係が、FM患者の痛みの増悪に最も大きく影響を与えていることが考えられた。特に患者と家族とのかかわり方は、怒りの抑制および、痛みを増悪させる直接的な要因として関与することが示唆され、痛みの治療に大きく影響を及ぼしていると考えられた。これらの結果から、治療過程で家族との関わり方などを通し、家族のおかれている状況を具体的に把握することは、次の治療ステップへの方向性を考察することに効果的であった。現在これまでの結果を踏まえ、患者とその家族との心理面接を通し更に詳細な調査を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維筋痛症患者への心理教育ガイドラインを作成するために、初年度では、介入プログラムに参加している患者を対象とし、認知行動療法介入の有効例と中断例における患者の特性を把握した。その結果、痛みを誘発する外的要因には個人差があるが、1.痛みに対する正しい知識とコントロール法、2.ライフスタイルに注目し、現在の生活変化に合わせた家族関係の見直し、3.患者を取り巻く生活環境を整え、痛みによる習慣化されつつある問題行動の改善、などを中心とした介入目標を明確化した(第3回日本線維筋痛症学会、The 21st World Congress on Psychosomatic Medicineで報告)。 さらに、より介入を強化するため、研究施設の外来治療を受けている研究への協力が得られた患者家族(患者の同意が得られた家族を対象)に面接調査を実施し、患者やその家族に対する支援モデルを作成するための予備調査のデータ収集・整理を行っている。ここで得られた一部の結果は「第37回日本行動療法学会」及び「The 3rd Asian Cognitive Behavior Therapy Conference」にて報告した。現在これまでの結果を踏まえ、患者とその家族との心理面接を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
線維筋痛症(以下FM)患者に対するこれまでの調査・介入研究で得られた知見から、認知行動療法(以下CBT)の有効性を臨床及び研究からのエビデンスを積み重ね、FM患者に対するCBTを中心とした介入プログラムを作成し、患者の病態に応じたCBT治療を行ってきた。引き続き、24年度は家族に対する心理教育を組み入れた家族参加型介入を実施するが、外来診療の際、患者と共に心理面接を同時に行う必要があり、患者とその家族の協力が重要となる。そのため、共同研究者との意見交換しながら、外来診療の中で研究を進めやすい環境作りを行い、その後、認知行動療法プログラム7段階に必要な支援モデルを発展させ、各病態に応じ、心理教育に必要な基礎プログラム・実践プログラムを検討する。研究成果は、論文によって公表するとともに、FM患者やその家族に対しては心理教育介入プログラム冊子を配布する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は以下の研究費が最低限必要である。 ・書類(線維筋痛症、認知行動療法に関する和洋図書)・調査質問紙、パンフレット作成、・成果発表のための国内外旅費(学会参加:アジア心身医学学会:モンゴル、日本疼痛学会、日本線維筋痛症学会発表予定) ・研究協力施設心療内科(東京←兵庫県)・謝礼(研究対象者、患者家族) ・事務用品・人件費:補助員・その他:論文投稿料、会議費、通信費切手代140×20人分
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Research Products
(6 results)