2012 Fiscal Year Research-status Report
漢方処方「麻黄剤」のインフルエンザウイルス感染に対する有効性の機序の解析
Project/Area Number |
23590896
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
永井 隆之 北里大学, 大学院感染制御科学府, 講師 (00172487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 大学院感染制御科学府, 准教授 (70161601)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 薬学 / 薬理学 / 東洋医学 / 麻黄剤 / インフルエンザ / 自然免疫 |
Research Abstract |
インフルエンザ(Flu)は毎年冬期に流行し、39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身症状が強い重篤な急性感染症である。また最近、鳥インフルエンザウイルス(FluV)(A/H7N9)のヒトでの流行が危惧され、2009年度には豚型FluV (A/H1N1)がパンデミックを起こした。現在、Flu治療の第一選択薬としてオセルタミビル(OSE)が頻用されているが、OSE耐性FluVの比率の増加などが問題になっている。これらのことから、Fluに対して安全かつ有効に多様な患者に対応するために、治療薬の選択肢の幅を広げることが望まれる。麻黄湯は経験的にFluの治療に用いられているが、基礎研究によるFluに対する有効性の評価や作用機序の検討は十分に行われていなかった。そこで、麻黄湯のFluに対する有効性と薬効機序について、マウスによる評価系を用いて検討している。これまでの検討で、麻黄湯の経口投与により、感染2日後においてFluVを上気道させたマウスの鼻腔及び肺でのFluVの増殖が有意に抑制されることを明らかにした。 そこで今年度は、FluVを感染させたA/Jマウスに麻黄湯を48時間経口投与し、鼻腔洗液及び肺洗液中の総IgM, IgA, IgG1抗体価を測定した。その結果、麻黄湯の投与により、鼻腔洗液及び肺洗液中の総IgA抗体価、並びに肺洗液及び血清中の総IgG1抗体価の上昇が認められた。また、呼吸器感染症の治療に用いられている瀉白散の経口投与により、感染5日後においてFluVを上気道させたマウスの鼻腔及び肺でのFluVの増殖が有意に抑制されたが、抗体産生には影響を与えなかった。 今年度の成果により、麻黄湯の早期の抗FluV活性に、自然免疫系のうち気道における総IgA及びIgG1抗体価の上昇が関与している可能性が推定され、漢方薬によって抗FluV活性の機序が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究計画・方法のうち、平成24年度以降の研究計画に記載した「インフルエンザウイルス感染に対する小青竜湯及び麻黄湯中の活性成分の検討」について、小青竜湯の各構成生薬の気道炎症に対する作用の検討を予定通り平成24年度に開始出来た。また、「小青竜湯の共通粘膜免疫機構を介した薬効発現機序の検討」については、小青竜湯の気道炎症に対する有効性の気道免疫系を介した機序の検討を平成24年度に開始出来た。さらに、「麻黄湯のインフルエンザウイルス感染に対する効果の作用機序の検討」については、平成24年度に研究実績の概要に記載した成果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
麻黄剤及び関連漢方処方のインフルエンザに対する有効性の作用機序並びに活性成分の検討について、交付申請書に記載した研究計画に沿って推進する。特に、平成24年度以降の研究計画のうち、平成24年度に開始した「小青竜湯の共通粘膜免疫機構を介した薬効発現機序の検討」は、平成25年度も継続して実施する予定である。また、「インフルエンザウイルス感染に対する小青竜湯及び麻黄湯中の活性成分の検討」については、麻黄剤以外の漢方処方とその構成生薬のウイルス感染に対する有効性を麻黄剤と比較検討することによっても実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、麻黄剤及び関連漢方処方のインフルエンザに対する有効性の作用機序並びに活性成分の検討を実施するための、実験動物代金(マウス)、実験動物飼育依頼費、活性成分精製用試薬及び器具一式代金、ウェスタンブロッティング用試薬一式代金、real time及びRT-PCR用試薬一式代金(プライマー作製等)として使用予定である。また、研究成果を公表するための、国内・国外旅費及び論文投稿料・別刷代印刷費としても使用予定である。
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Research Products
(7 results)