2013 Fiscal Year Annual Research Report
漢方処方「麻黄剤」のインフルエンザウイルス感染に対する有効性の機序の解析
Project/Area Number |
23590896
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
永井 隆之 北里大学, 大学院感染制御科学府, 講師 (00172487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 大学院感染制御科学府, 教授 (70161601)
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Keywords | ウィルス / 感染症 / 薬学 / 薬理学 / 東洋医学 / 麻黄剤 / インフルエンザ / 自然免疫 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、麻黄剤のひとつである「小青竜湯」が気道炎症に対して有効性を示すことを明らかにしている。そこで今年度は、小青竜湯の気道炎症に対する有効性の気道免疫系を介した機序について、卵白アルブミン(OVA)誘発気道炎症モデルマウスを用いて検討を行った。 気道炎症モデルマウスに小青竜湯を0.5 g/kgの用量で連日経口投与し、肺組織におけるT細胞分化に関連する転写因子のmRNA発現量を測定したところ、GATA3 mRNAの発現量はOVAの感作により有意に増加したのに対し、小青竜湯の投与により有意に減少した。T-bet mRNAの発現量も感作により有意に増加したが、小青竜湯の投与による変化は認められなかった。ROR-γt mRNAの発現量は感作を行っても変化は認められなかったが、小青竜湯の投与により減少傾向が認められた。Foxp3 mRNAの発現量は感作により有意に上昇したが、小青竜湯を投与しても変化は認められなかった。また、肺組織におけるTARC mRNAの発現量はOVAの感作により有意に増加したのに対し、小青竜湯の投与により有意に減少した。小青竜湯の構成生薬のうち、半夏と麻黄エキスに肺における抗OVA IgE抗体価の低下作用が認められた。 今年度の成果により、小青竜湯は肺組織においてナイーブT細胞のTh2細胞への分化を抑制するとともに、Th2ケモカインの産生を抑制することによって、肺におけるIgE抗体の産生を抑制する可能性が示唆された。また、小青竜湯によるIgE抗体価の低下作用に半夏及び麻黄の成分が関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)