2011 Fiscal Year Research-status Report
老人性骨粗鬆症に対する代替医療による予防および治療効果の基礎的研究
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23590899
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
那須 史男 鈴鹿医療科学大学, 鍼灸学部, 教授 (10180530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野 かおり 鈴鹿医療科学大学, 鍼灸学部, 講師 (40399035)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | osteoporosis |
Research Abstract |
3点曲げ試験による老人性骨粗鬆症マウス大腿骨の強度の検討 老人性骨粗鬆症マウスSAMP6(25週齢,♂,5匹)とそのコントロールである正常老化マウスSAMR1(25週齢,♂,5匹)の大腿骨,脛骨,腰椎を採取し,70% エタノールに浸漬し冷蔵庫で保存した。今回の3点曲げ試験は,SAMP6の左右の大腿骨10本と,SAMR1の左右の大腿骨10本を用いた。使用した装置は,オートグラフ AG-X(島津製作所)。試験条件は,室温23℃,圧縮速度 0.2mm/min,使用ロードセル 10kN,支持台の半径 2mm,圧子の半径 3mm,支点間距離 13mmであった。(結果)SAMP6の最大試験力の平均値(n=10)は15.50mm,ストロークの平均値(n=10)は0.32mmであった。SAMR1の最大試験力の平均値(n=10)は20.38mm,ストロークの平均値(n=10)は0.37mmであった。最大試験力(p<0.001),ストローク(p<0.05)ともにSAMP6はSAMR1に比べると有意に低いことが示された。これまでの研究結果から老人性骨粗鬆症の骨は,正常な骨に比べて太いが皮質骨の厚さが薄いことが分かっている。このことから,SAMP6の皮質骨は薄く,しなやかさが失われて,折れやすい性質を持っていることが分かった。今後は骨の3次元的構造解析を遂行するより,骨の質を問題として,生化学的な組成について研究を実施していくことが老人性骨粗鬆症の実態解明に寄与すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
23年度は共同研究者の諸般の理由により研究が当初の予定より遅れている。23年度に共同研究者が突然の配置転換によって研究時間が十分取れなくなり大規模な実験に着手することが出来なかった。休日などで対応して研究を進めたが当初の予定より大幅に研究が遅れ,一部計画を変更せざるを得なかった。また,マイクロCTによる骨の三次元的構造解析は本学のマイクロCT装置の使用が許可されなかったため実験方法を一部修正することにした。骨強度の実験結果から,骨の3次元的な構造解析を遂行するよりも,骨質についての生化学的な実験を重点的に行なうことの方が老人性骨粗鬆症の実態解明に重要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の骨の3点曲げ試験の結果から,骨の形態学的な3次限構造の解明よりも,骨の組成の変化つまり「骨質」に焦点を当てて研究を遂行することが骨粗鬆症の解明に寄与することが大であると考える。 したがって,24年度以降はマウスへの施灸後の骨質に焦点を当てて(1)テトラサイクリンとカルセイン投与し,老人性骨粗鬆症モデルのSAMP6と正常モデルSAMR1の骨形成速度を大腿骨を用いて調べる。(2)老人性骨粗鬆症モデルのSAMP6と正常モデルSAMR1の骨代謝の指標として血漿中のテストステロンとPTHおよびIL-11をELISA法で調べる。(3)老人性骨粗鬆症モデルのSAMP6と正常モデルSAMR1の大腿骨を用いて酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRACP)染色とアルカリ性ホスファターゼ(ALP)染色することにより,破骨細胞と骨芽細胞細胞の分化や分布の違いを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度以降は生化学的な実験を中心に行なうため,(1)実験動物はSAMP6とSAMR1を合わせて80匹使用する予定(320,000円),(2)プラスチック器具類(100,000円),(3)ELISA法のための試薬,抗体など(830,000円),(4)国内旅費(150,000円)に使用する予定である。
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