2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨リモデリングにおけるRA系関与機構とARB骨保護作用:老年者高血圧治療の新概念
Project/Area Number |
23590902
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
青木 元邦 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (00346214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, その他の研究科, 教授 (20325369)
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Keywords | 骨粗鬆症 / RA系 / ARB / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
1)Osmotic minipomp を用いたAng II infusion モデルマウス・骨折モデルマウスにおけるレニンーアンジオテンシン(RA)系と骨形成系との相関 これまでの我々の検討で、骨粗鬆症モデルにおいてRA系が破骨細胞の活性化に伴い骨吸収を促進させることを報告してきた。本研究ではRA系が骨形成系に及ぼす影響を検討した。アンジオテンシンII(Ang II)投与やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与によっても骨芽細胞の分化マーカー(オステオポンチン・オステオネクチン・オステオカルシン)やALP活性へ影響はなく、本研究ではRA系が骨形成系に及ぼす影響はないと考えられた。骨折モデルにおいてもRA系が骨芽細胞による仮骨の内軟骨性骨化に及ぼす影響は確認できなかった。しかしながら、Ang IIの持続投与による仮骨内の軟骨形成増加を偶然に確認でき、Ang IIの軟骨細胞代謝への影響という次の研究につながった。 2)ヒト臨床研究「廃用症候群を有する寝たきり閉経後高血圧女性患者に対するアンジオテンシン受容体拮抗薬の骨粗鬆症予防効果に関する検討」 高血圧・閉経後・廃用症候群という骨吸収系が過剰に促進された状況で、ARBの骨吸収抑制作用を検討した。対象患者では、骨形成系は正常であったが、ARB投与群・Ca拮抗薬投与群ともに骨吸収マーカー(デオキシピリジノリン・NTx・尿中ハイドロキシプロリン)は著明に上昇し、骨密度は著明に低下していた。Ca拮抗薬投与群では、経時的に骨吸収マーカーの有意な上昇と、骨密度の有意な低下を認めたが、ARB投与群では、骨吸収マーカーの上昇は抑制され、骨密度の有意な低下も見られなかった。今回の臨床研究でARB投与による骨吸収マーカーの抑制が認められ、RA系阻害による骨粗鬆症進展抑制効果が示唆された。
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