2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590915
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
豊永 高史 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (40464268)
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Keywords | メタボロミクス / 食道がん |
Research Abstract |
日本におけるがんによる死亡者数は、高年齢化に伴い、増加の一途を辿っている。このことから、治療可能な段階でがんを発見することが必要であり、簡便、かつ、非侵襲的な早期がん発見法の開発が求められている。がんでは、健常人では見られないタンパク質の発現やその活性の変化により代謝経路に異常が認められている。その結果、細胞内で誘発された様々な代謝物の変動を血液中で的確に、かつ、感度よく検出することができれば、様々な病気の診断に使えると考えられる。そこで、健康診断で採取される多数の血液検体中のがん特異的代謝物(メタボローム)の変動パターンを高感度に検出し、プロファイリングすることができれば、画期的な超早期診断システムの開発につながると考え、食道がんを対象に特徴的に変動する代謝物を網羅的に分析し、その変動パターン解析を行うことで、食道がんに対する新たな診断法の確立を目的とした。ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた血清代謝物解析では、グルタミン、グリシルグリシン、シトルリンなど17種類の代謝物が、健常人と比較して有意に変動することが明らかとなった。液体クロマトグラフ質量分析計を用いた脂質解析では、47種類のホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、あるいは、アシルカルニチン類が有意に変動した。液体クロマトグラフ質量分析計を用いたカチオン・アニオン解析では、13種類の代謝物が有意な変動を示すことを明らかにできた。さらに、有意に変動した代謝物に基づき、ステップワイズ法により説明変数を選択し、多重ロジスティック回帰分析による食道がん予測式を構築できた。これらの結果は、食道がん発見に代謝物分析が有用である可能性を示している。
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