2012 Fiscal Year Research-status Report
p53経路に関わる機能性RNAと消化器発がん:バイオマーカーとしての有用性
Project/Area Number |
23590920
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 泰史 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70322328)
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Keywords | p53 / p63 / p73 / miRNA / 機能性RNA / バイオマーカー / 消化器癌 |
Research Abstract |
本研究では,がん抑制遺伝子p53経路の異常が発がん,がんの進展過程におよぼす分子機構を多面的に理解するため,p53ファミリーによって制御される機能性RNAを同定し,その機能解析へと展開する.さらに発現異常,悪性度および化学療法効果との関連性の分析を通じて,消化管癌の新しい診断・治療予測システムを開発しようとするものである. (1)miR-200ファミリーの新規標的遺伝子CRKLの機能解析 前年度に同定した,p53誘導性miRNA,miR-200b/200c/429の新規標的遺伝子CRKL (v-crk sarcoma virus CT10 oncogene homolog-like)について解析をすすめた.CRKL遺伝子の3’-UTRにmiR-200b/200c/429の結合配列を同定し,p53ファミリーがmiR-200b/200c/429を転写活性化し,この配列を介してCRKLの発現を抑制していることを明らかにした.臨床検体の解析から,CRKL遺伝子発現が胃癌組織で上昇し,予後不良と相関することをつきとめた.また,p53変異のある症例で有意にCRKLが発現上昇していた.CRKLの導入により,胃癌細胞株の増殖,浸潤,遊走能が上昇することを明らかにした.以上の結果から,p53ファミリーがmiR-200b/200c/429の転写誘導を介してCRKLの発現を制御し,がんの浸潤,転移能を抑制していることが示唆された. (2)p53に制御される新規機能性RNAの同定 マイクロアレイ,およびp53結合コンセンサス配列の全ゲノム網羅的解析より,76のp53誘導性ncRNA候補を同定した.それらすべてについて,RT-PCR法によりp53ファミリーによる発現誘導を確認したところ,6つのncRNAの強い転写誘導が認められた.さらに6つのncRNAすべてについて近傍のp53応答性配列を同定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はp53ファミリーの標的miRNA,miR-200ファミリー(miR-200a/200b/429, miR-200c/141)の機能解析を行った.外来性,および内在性p53によりmiR-200ファミリーが直接転写活性化されることをqRT-PCR,クロマチン免疫沈降,レポーターアッセイにより確認した.また,miR-200ファミリーの新規標的としてCRKLを同定し,消化器癌の予後不良因子であることも明らかにした.さらにCRKLが消化器癌細胞の増殖,浸潤,遊走能を促進することをはじめて明らかにした.これらの結果より,p53がmiR-200ファミリーに転写制御を介してCRKLの発現を抑制し,癌の進展を制御していることが示唆された.これらの成果に加えて,6つのp53ファミリーの新規標的ncRNAを同定し,平成25年度に発現異常,遺伝子変異の解析,悪性度および化学療法効果との関連性の分析する予定であり,計画通り研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
miR-200ファミリー(miR-200a/200b/429, miR-200c/141)の標的遺伝子CRKLについての研究は順調に進展しており,CRKLが消化器癌細胞の増殖,浸潤,遊走能を促進することをはじめて明らかにした.消化器癌組織おける発現解析においても,CRKL遺伝子発現が胃癌組織で上昇し,予後不良と相関することをつきとめた.今後,症例数を増やして消化器癌組織におけるCRKLの遺伝子発現の解析を行うとともに,正常組織,癌組織における発現パターンをISH法,または免疫染色法で評価し,臨床病理学的因子や治療反応性との相関を検討する.さらに平成24年度に同定したp53の新規標的ncRNAの解析に着手する予定である.具体的にはp53による転写様式,癌組織での発現,機能解析等を通じて消化器癌関連機能性RNAの同定を目指したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は順調に研究が進展したため,研究補助に対する人件費,謝金を必要としなかった.そのため13万余りの残額が生じ,次年度の研究進展に活用したい.次年度もCRKLの発現解析,機能解析を継続し,研究を進展させたい.その成果を第72回日本癌学会学術総会で発表し,原著論文での発表,特許取得を予定している.それに加え,miR-200ファミリー以外のp53ファミリーの新規標的miRNA,機能性RNAの解析に着手したいと考えている.すでに6つのp53ファミリーの新規標的ncRNAを同定しており,それらを含む消化器癌関連機能性RNAとその標的について,新たに血漿(または血清)中の定量解析システムの構築を試み,がん診断・治療のバイオマーカーとしての有用性の検討を開始する予定である. 次年度の研究費の使用計画 設備備品費 なし 消耗品費 発現解析のための試薬類(酵素類30万円,RNAプローブ30万円,抗体38万円), 学会発表旅費10万円,謝金10万円,印刷費5万円
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] CLCA2, a target of the p53 family, negatively regulates cancer cell migration and invasion.2012
Author(s)
Sasaki Y, Koyama R, Maruyama R, Hirano T, Tamura M, Sugisaka J, Suzuki H, Idogawa M, Shinomura Y, Tokino T.
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Journal Title
Cancer Biol Ther
Volume: 13
Pages: 1512-21
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel approach to cancer treatment using structural hybrids of the p53 gene family.2012
Author(s)
Sasaki Y, Oshima Y, Koyama R, Tamura M, Kashima L, Idogawa M, Yamashita T, Toyota M, Imai K, Shinomura Y, Tokino T.
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Journal Title
Cancer Gene Ther
Volume: 19
Pages: 749-56
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular dissection of premalignant colorectal lesions reveals early onset of the CpG island methylator phenotype.2012
Author(s)
Yamamoto E, Suzuki H, Yamano HO, Maruyama R, Nojima M, Takagi R, Harada T, Suzuki R, Sato A, Kai M, Sasaki Y, Tokino T, Sugai T, Imai K, Shinomura Y, Toyota M.
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Journal Title
Am J Pathol
Volume: 181
Pages: 1847-61
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Heat shock enhances the expression of cytotoxic granule proteins and augments the activities of tumor-associated antigen-specific cytotoxic T lymphocytes.2012
Author(s)
Takahashi A, Torigoe T, Tamura Y, Kanaseki T, Tsukahara T, Sasaki Y, Kameshima H, Tsuruma T, Hirata K, Tokino T, Hirohashi Y, Sato N.
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Journal Title
Cell Stress Chaperones
Volume: 17
Pages: 757-63
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] CHFR protein regulates mitotic checkpoint by targeting PARP-1 protein for ubiquitination and degradation.2012
Author(s)
Kashima L, Idogawa M, Mita H, Shitashige M, Yamada T, Ogi K, Suzuki H, Toyota M, Ariga H, Sasaki Y, Tokino T.
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 287
Pages: 12975-84
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] CLCA2, a target of the p53 family, negatively regulates cancer cell migration and invasion2013
Author(s)
Sasaki Y, Koyama R, Maruyama R, Tamura M, Ohashi T, Idogawa M, Suzuki H, Shinomura Y, Tokino T
Organizer
9th AACR-JCA Joint International Conference
Place of Presentation
Maui, Hawaii
Year and Date
2013-02-24
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