2012 Fiscal Year Research-status Report
統合的ゲノム・エピゲノム解析を用いた消化器癌の化学療法における感受性予測
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23590938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 貴文 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40378732)
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Keywords | 下部消化管学 |
Research Abstract |
本研究は消化器癌のゲノム異常及びエピゲノム異常を解析することにより、化学療法における特定の薬物に対する感受性・抵抗性を予測することを目的とする。 研究計画書を作成し倫理委員会に承認を得た後、2004年11月以降、京都大学医学部附属病院で化学療法を受けた進行再発胃癌135例、進行再発大腸癌408例を外来化学療法部データベースより抽出し、治療歴から候補症例を選定した。 また、染色体解析のためのSNP array及び反応キットを購入し(Mapping 500K Nsp, アフィメトリックスジャパン)、新たに解析システムを構築した。当初計画していたホルマリン固定パラフィン包埋切片から抽出したDNAを用いたSNP array解析ではprimer dimerによると思われるノイズが著しく、DNAコピー数解析の判定が不能であった。 このため凍結保存検体を用いてFOLFOX療法が行われた7例の大腸癌症例を対象としてSNP array解析を行った。22か月以上生存した5例においてはこれまでに高頻度に報告されている染色体異常が検出された。(以下染色体短腕をp、長碗をq、欠失を-, 重複を+で表す)+20q (5/5), +13q (5/5), -17p (5/5), +7 (4/5), -5q (4/5), -8p (4/5), -18q (4/5), -1p (3/5), +8q (3/5). 一方、肝切除後早期に再発し脳転移を合併してFOLFOX治療開始後17.9か月で死亡した1例において8p12, 8p11.21, 14q21.2-q21.3, 14q31.2-q31.3, 17q21.2-q21.31の5か所の遺伝子増幅を認め、異常染色体パターンが化学療法後の転帰に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では平成23年度中に(1)プロトコル作成と倫理委員会の承認取得、(2)対象症例の選定、(3)抗腫瘍効果判定(4)ホルマリン固定パラフィン包埋切片からのDNA抽出を行う予定であったが、このうち(2)(3)の作業に予想以上の時間を追加し、またSNPアレイ解析の仕様が変わったために新しくシステムを立ち上げ直し、その予備実験を行うのにも時間を要した。 当初計画していたホルマリン固定パラフィン包埋切片からの解析を試みたがTaKaRa Dexpatキットで抽出した場合DNAの断片化が著しくまた回収率も悪かったため、フェノールクロロホルム法を用いたDNA抽出に切り替えた。これによりDNAの回収率は改善したもののやはり断片化が認められ、これを用いて行ったSNP array解析ではprimer dimerによると思われるノイズが著しく、DNAコピー数解析の判定が不能であった。そこで、上述の如く凍結検体が保存されている症例に限って解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在凍結保存切片を用いた解析症例数を増やすと同時に、断片化の認められるDNAの使用量を増やすことでホルマリン固定パラフィン包埋切片からの解析を可能にするべく条件設定を行っている。また、異動先の研究機関である公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院においても検体を取得できるよう共同研究の体制を準備中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に染色体解析のためのSNPアレイ及び反応試薬、遺伝子変異解析のためのシークエンス反応キット及びキャピラリーシークエンサーに必要な消耗品の購入に充当する。
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[Journal Article] A phase I study investigating the safety and pharmacokinetics of highly bioavailable curcumin (Theracurmin) in cancer patients.2013
Author(s)
Kanai M, Otsuka Y, Otsuka K, Sato M, Nishimura T, Mori Y, Kawaguchi M, Hatano E, Kodama Y, Matsumoto S, Murakami Y, Imaizumi A, Chiba T, Nishihira J, Shibata H.
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Journal Title
Cancer Chemother Pharmacol.
Volume: Epub ahead of print
Pages: Epub
Peer Reviewed
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