2013 Fiscal Year Research-status Report
放射線腸炎に対する自家脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた再生治療
Project/Area Number |
23590946
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大津留 晶 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00233198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯本 一 長崎大学, 大学病院, 准教授 (90322304)
中島 正洋 長崎大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50284683)
吉本 浩 長崎大学, 大学病院, 助教 (90513309)
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Keywords | 多分化能 / 放射線皮膚潰瘍 |
Research Abstract |
放射線腸炎は、放射線治療の代表的晩期有害事象の一つで、難治例の根本治療はない。高度精密放射線治療の症例が今後増大することから、放射線腸炎に対する治療法の開発が急務である。さらに緊急被ばく医療でも、高線量被ばく患者が万一発生した時に備え、消化管障害の治療法開発は重要課題である。我々はES細胞用の培養液を工夫した特殊な培養環境で、ヒト組織より採取された初代細胞株が分化せずに前駆細胞機能(多分化能)を維持したまま細胞分裂することを示し(Suzuki K, et.al. PLoS ONE 27;6: e19354, 2011.)、また脂肪組織由来細胞による放射線皮膚潰瘍再生治療の解析を行った(Ohtsuru A, et.al. Development of novel treatments for radiation-related diseases in nuclear power plant accident. A New Challenge of Rad Health Risk Manag 181-191, 2012.)また放射線照射局所組織では、瘢痕化が組織弾力性を低下させ、幹細胞の生着不良や血流低下に影響を及ぼしていることが推測される。そのためFGFを用いて、それらを改善する試みをラットモデルで検討した(Hamuy R, et.al. One-stage, simultaneous skin grafting with artificial dermis and basic fibroblast growth factor successfully improves elasticity with maturation of scar formation. Wound Repair Regen 21:141-154, 2013.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月に発生した東日本大震災に伴う原子力災害において、研究代表者が長崎大学の被ばく医療支援を担当していたこと、さらに福島県立医科大学に異動となったため、当初の研究計画は実施しにくい状況ではあるが、基盤研究や一部臨床研究は共同研究者により進められている。福島第一原発の廃炉作業中に高線量被ばく患者が万一発生した時に備える意味でも、消化管障害に対する再生治療法開発は喫緊の課題なので、より現実的な再生治療の開発をめざしている。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪組織由来の再生細胞を用いた臨床研究が困難な時は、研究計画で示していた基礎研究をより精力的に進め、放射線腸炎に対する脂肪組織由来前駆細胞の局所へのリクルート効果機序の科学的根拠を中心に研究する。すなわち放射線障害動物モデルにおいて、平成25年度で研究した増殖因子以外の、抗線維化因子、抗炎症因子、血管新生因子を中心に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主任研究者が異動となり、研究スペースの関係で、研究に必要な備品等の購入時期を遅らせなければならなくなったため。 次年度の早い時期に、予定していた備品等の購入を行う予定。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] One-stage, simultaneous skin grafting with artificial dermis and basic fibroblast growth factor successfully improves elasticity with maturation of scar formation.2013
Author(s)
Hamuy R, Kinoshita N, Yoshimoto H, Hayashida K, Houbara S, Nakashima M, Suzuki K, Mitsutake N, Mussazhanova Z, Kashiyama K, Hirano A, Akita S.
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Journal Title
Wound Repair Regeneration
Volume: 21
Pages: 141-154
DOI
Peer Reviewed
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