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2012 Fiscal Year Research-status Report

生物学的製剤抵抗機序におけるヒト腸内細菌フローラパターンの経時的変化

Research Project

Project/Area Number 23590948
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

岡沢 啓  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286457)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 金井 隆典  慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
Keywords腸内細菌フローラ / 炎症性腸疾患 / probiotics
Research Abstract

炎症性腸疾患(IBD)は原因不明の慢性腸管炎症性疾患である。近年、Tumor necrosis factor (TNF)-αに対する生物学的製剤をはじめとした宿主の免疫応答を調整する薬剤の有効性より、免疫異常の関与は明らかである。さらに、近年、ヒトやマウスモデルに於いて腸内細菌叢がIBDに限らず、他の自己免疫疾患、糖尿病、NASHなど幅広い疾患との関連が示唆され、その原因として腸内細菌叢が宿主の異常な免疫応答が惹起されることが想定されているが詳細な検討は未だなされていない。我々は、前年度より引き続き高感度16S-rRNA RT-PCR法を用いて、新規腸内細菌叢ライブラリの作成、疾患関連細菌叢の探索、probioticsの候補を検討してきた。
活動期潰瘍性大腸炎患者17名、クローン病患者11名で治療前後(infliximab, FK506, Corticosteroid)での糞便の解析から、潰瘍性大腸炎患者に於いて治療前後で優位に腸内細菌数が増加している事が明らかとなった。さらに、Clostridium coccoides group、Bifidobacterium、Enterococcus、Staphylococcusの菌数が有意に増加している事が明らかとなった。
我々は、これらの炎症時に減少し、治療後に増加している菌のうち特にClostridium coccoides groupに着目し新規Probiotics の候補が存在すると仮説した。これらのClostridaのうち、培養に成功した菌を用いてデキストラン硫酸(DSS)誘因大腸炎モデルの病態修飾効果を検討したところ、Clostridium coccoidesの死菌体投与により腸炎は有意に改善した。これらのことから、Clostridium coccoidesに新規Probioticsの候補が存在する可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初、当該年度に於いては、活動性クローン病患者のうち、生物学的製剤 (レミケード)による暖解導入療法患者(推定60例)の治療前後の糞便腸内細菌フローラ角斬をRT-qPCR法によって腸内細菌ライブラリの作成予定であった。現在、登録患者数を拡充二次性のレミケード治療抵抗例の腸内細菌の経過中の変化を解析し、二次性のレミケード治療抵抗例を予測する腸内細菌叢を検討中である。
さらに、平成25年度実施予定であった、上記のライブラリからのIBD治療応用可能な新規Probioticsの候補として未知のClostridium coccoidesを数種類分離培養に成功し、動物実験レベルで腸炎抑制効果を示すことに成功している。
平成24年度にはIBD患者の腸内細菌叢ライブラリの拡充を行うと共に、現時点で単菌分離培養できる菌数を増加し、新規Probioticsの候補細菌を同定、その作用メカニズムを詳細に検討していきたい。

Strategy for Future Research Activity

今回活動期潰瘍性大腸炎患者17名、クローン病患者11名で同一患者の治療前後での糞便の解析から、潰瘍性大腸炎患者に於いて治療前後で増加しているClostridium coccoides groupの中で数種類の単菌分離培養に成功した。
これらの新規Probiotics の候補としての免疫調整能を検討するために、DSS誘因大腸炎モデルの病態修飾効果を検討した。今回の検討より、Clostridium coccoides groupの死菌投与は腸炎の改善、即ち、体重減少、腸管短縮、下痢・血便など腸炎の重症度を改善した。さらに、腸炎抑制効果を検討したところ、大腸粘膜固有層よりIL-10の産生を増強していることが明らかとなり、IL-10依存性の腸炎抑制効果の存在が示唆された。Atarashiらは46種のClostridium spiecesのカクテルがregulatory T cell (Treg)を有意に増加させ、TregからのIL-10産生の腸炎抑制効果に対する重要性を示している(Science 2010, 331: 337-341)。しかし、本菌はTregを増加させておらず、むしろ自然免疫系からのIL-10産生を賦活していることが予想される。
今後の検討課題としては、前年度より引き続き、例数を増やしながら腸内細菌叢ライブラリの拡充、治療前後の腸内細菌の変化について解析を充実させ、さらなる候補細菌を分離培養すると共に、現在候補である未知のClostridium coccoidesの腸炎抑制機構を解析するために、単菌感染系を用いて上皮や免疫細胞の応答を詳細に観察することで、IL-10産生機構や他の炎症抑制メカニズムを詳細に検討して行きたいと考えている。さらに、ClostridiumのGenomicsやProteomicsの手法を用いて有効成分の同定も検討している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

実験試薬等の物品費用として400,000円、間接経費として120,000円使用したいと考えている。

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Published: 2014-07-24  

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