2011 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患の基盤的免疫学から臨床免疫内視鏡学の創成
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23590949
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩男 泰 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40168547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
1、adoptive transferの系を用いてnatural-occurring Th17細胞が炎症惹起性かどうかの検討;CD4+CD45RBhigh T 細胞移入大腸炎マウスより分離したTh17細胞をRAG-2欠損マウスに再移入すると腸炎を惹起したのに対し、マウス腸管より分離したnatural-occurring Th17細胞をRAG-2欠損マウスに再移入すると腸炎を惹起しなかった。驚くべきことに、natural-occurring Th17細胞は共移入することでCD4+CD45RBhigh T 細胞移入大腸炎発症を抑制した。さらに、本共移入システムではCD4+CD45RBhigh T細胞側からFoxp3陽性の制御性T細胞が誘導されるという驚くデータを得た(現在、Gastroenterologyで改訂中)。2、制御性T細胞におけるTh1/Th17バランスへの関与;CD4+CD25+ 制御性T細胞を共移入することでCD4+CD45RBhigh T 細胞移入大腸炎発症を抑制したばかりではなく、驚くべきことに、CD4+CD45RBhigh T細胞側からTh17細胞の頻度が上昇した。さらに、本Th17細胞を再度分離し、RAG-2欠損マウスに再移入すると、Th1細胞優位の大腸炎が出現し、我々はTh17→Th1細胞へのin vivoでの分化経路が存在することを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究成果は我々が独自に展開している腸炎惹起性Th1, Th17細胞の発生、分化、可塑性プロジェクトの一部でるが、慢性大腸炎発生過程でTh17→alternative Th1細胞の発見は、世界で複数のグループから報告があったが、我々の成果は、in vivoで完結して実証したものであり、Gastroenterology誌editorialに5ページにわたって紹介され注目を集め、高く自己評価するものである。さらに、Th17細胞に関して、病的細胞が防御細胞かの論争の中で、Th17細胞には2種類存在し、それぞれ異なった経路で発達するものであることを示した成果は論文受理後、高く評価されるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性大腸炎における、Th17→alternative Th1細胞経路とclassical Th1細胞の関連について検討を遂行する。特に、Th1 gene KOでも Th17 gene KOでも腸炎が発症しない点に着目し、classical Th1細胞分化にはTh17ヘルプが必須であるという仮説を立て、RORgt KOマウス、正常マウスより同数のCD4+CD45RBhigh T細胞を移入し、RORgt KOサイドからclassical Th1細胞分化が可能かを検討する。さらに、RORgt レポーターマウスのCD4+CD45RBhigh T細胞を移入し、腸炎惹起後、RORgt+ T細胞をGFPをマーカーに分離し、同細胞を、RORgt KOマウスからのCD4+CD45RBhigh T 細胞と共移入し大腸炎発症の有無を検討するだけでなく、RORgt KOマウス由来細胞からのclassicla Th1細胞の分化発達を検討する。in vitroモデルでも検証するが、in vivoでの事象を重視したいと考えている。以上、H24年での検討で、慢性大腸炎にはTh1とTh17細胞が密接に相関して、ともに重要な経路であることを証明する一連の研究を完結したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【adoptive transferの系において腸炎発症、腸炎抑制における腸内細菌叢の変化、Th1/Th17バランスとの関係性の検討、ヒトにおいても治療介入で腸内細菌叢変化を認めるかの検討】予備検討では16sRNAPCR法を用いてヒトIBD糞便中の腸内細菌を偏性嫌気性菌であるClostridium coccoides group 、Bacteroides fragilis group、通常嫌気性菌のBifidobacterium Lactobacillus Enterobacteriaceae、 Enterococcus、 Staphylococcus、好気性菌のPseudomonasについて検討した。興味深いことにClostridium coccoides group、Enterococcus、 Staphylococcusは腸炎発症群において多く存在することが確認された。今後マウスの腸炎を抑制する系を利用して腸内細菌が腸炎発症と腸炎抑制形において最も関与が疑われる菌を同定し、複数の菌を経時的に追いTh1/Th17誘導との関係性を検討する。同時にヒトの糞便を炎症性腸疾患の患者より採取、解析を行い、寛解、再燃、発症時の腸内細菌との関係、及びTh1/Th17バランスと腸内細菌の関係、治療介入による寛解導入のテーラーメイド医療が腸内フローラの観点から予測するという新たなbiomakerとしての地位の確立を模索していきたい。研究費使用予定詳細消耗品:130万円、旅費:10万円、その他(解析費用など)10万円→合計150万円
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Ectopic expression of blood type antigens in inflamed mucosa with higher incidence of FUT2 secretor status in colonic Crohn's disease2011
Author(s)
Miyoshi J, Yajima T, Okamoto S, Matsuoka K, Inoue N, Hisamatsu T, Shimamura K, Nakazawa A, Kanai T, Ogata H, Iwao Y, Mukai M, Hibi
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Journal Title
J Gastroenterol
Volume: 46( 9)
Pages: 1056-1063
Peer Reviewed
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[Journal Article] Target biopsy or step biopsy? Optimal surveillance for ulcerative colitis: a Japanese nationwide randomized controlled trial.2011
Author(s)
Watanabe T, Ajioka Y, Igarashi M, Iwao Y, Ohtsuka K, Kudo SE, Kobayashi K, Sada M, Matsumoto T, Hirata I, Murakami K, Nagahori M, Watanabe K, Hida N, Ueno F, Tanaka S, Watanabe M, Hibi T
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Journal Title
J Gastroenterol
Volume: 46 Suppl 1
Pages: 11-16
Peer Reviewed
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