2011 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌における上皮細胞増殖因子関連新規分子標的遺伝子の機能解析
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23590952
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小笠原 尚高 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00433219)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 上皮細胞増殖因子 |
Research Abstract |
【転写抑制遺伝子ZFP-BAの細胞内局在の検討】大腸癌培養細胞(CaCo2,HT-29)にADAM活性のリガンドであるIL-1bおよびIL-8を投与したところ,投与後1時間で上皮細胞増殖因子(EGF)前駆体(heparin binding-EGF;HB-EGF)の細胞内ドメイン(Carboxyl terminal fragment;HB-EGF-CTF)は核内に移行した.その2時間後(投与3時間後),ZFP-BAは核内から細胞質へ移動することが確認された.さらにその4時間後(投与6時間後)ZFP-BAは細胞質から消失した.ZFP-BAの分解機序を解明するため,ユビキチン化につき免疫沈降法を用いて検討したところ,ZFP-BAのユビキチン化が認められた.また,これら一連の反応は,ADAM活性抑制剤(KB-R7785)にて抑制された.【DNA micro arrayによる解析】ZFP-BAのsiRNAを大腸癌培養細胞(CaCo2,HT-29)に導入し,ZFP-BAをノックダウン状態にしたのちmRNAを抽出しMicroarray解析を行った.その結果,細胞周期調節因子の1つであるCDC25A 遺伝子とアポトーシス抑制遺伝子の1つであるBIRC2 の発現増加が認められた.また,これら2つのZFP-BAのTransfection vector(pME18sIII- ZFP-BA)を導入した培養細胞では,優位に抑制された.この結果から,ZFP-BAはCDC25AとBIRC2に対して抑制的に働いていることが確認された.つまり,EGFR関連新規転写抑制遺伝子ZFP-BAは,細胞周期の進展とアポトーシスの抑制に関与し,大腸癌細胞におけるZFP-BAの発現低下は大腸癌の増殖に関与する因子の1つとして考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主たる研究目的である転写抑制遺伝子ZFP-BAの細胞内局在の検討およびDNA micro arrayによる解析は上述のように予定通り順調に行うことができた.しかしながら,転写抑制遺伝子ZFP-BAとHB-EGF-CTFとの結合領域の解析とレポーターアッセイ系による機能解除の解析については,一部解析ができていないため,引き続き解析を継続する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
転写抑制遺伝子ZFP-BAとHB-EGF-CTFとの結合領域の解析については,現時点で導入できていない3種類のtransfection vectorの作成を継続するとともに,導入する大腸癌培養細胞の変更も検討する.また,transfection vectorの導入に用いている試薬等の変更も検討すべきと考えている.レポーターアッセイ系による機能解除の解析については,すでにZFP-BAのレポーターアッセイ系は構築されているため,ADAM活性のリガンドであるIL-1bおよびIL-8を投与し,HB-EGFのshedding誘導によってルシフェラーゼの発現変化に関する検討を行うのみである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の計画である特異抗体によるヒト正常上皮における発現の検討を行うにあたり,光学顕微鏡の購入を予定している.ZFP-BAモノクローナル抗体を用い,ヒト組織免疫染色を行うことでヒト大腸組織での発現意義を検討するため,免疫染色された病理組織を観察するため光学顕微鏡が必要である.また,消化管内視鏡検査時に施行した生検組織のヒト正常大腸粘膜およびヒト大腸癌から採取した組織を用い,ZFP-BA のmRNAとタンパク発現を検討するにあたり,RNAを抽出する試薬,RT-PCRを行うためのプライマー,タンパク発現を検討するための抗体やそれに伴う試薬を購入する予定である.
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