2011 Fiscal Year Research-status Report
RNP構成因子DDX20によるB型肝炎関連肝癌の抑制機構の解析
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23590960
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五藤 忠 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40444088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | microRNA / 肝細胞癌 / DDX20 |
Research Abstract |
今年度はまず、肝癌細胞株・肝臓癌臨床検体でのDdx20 の発現量の検討を行なった。すなわち、Ddx20 の発現がヒト肝細胞癌検体でどのような発現状況を示すか肝癌細胞株での蛋白発現量の確認と組織アレイでの免疫染色により検討する。肝癌細胞株では8 細胞株中2 株で発現の著明低下、組織では50 検体を超える背景肝と癌組織でのDdx20 の発現を検討し約 25%の症例で背景肝よりも癌組織での発現が低下していることを確認した。特にB 型肝炎ウイルス感染細胞株あるいは組織で多く発現が低下している傾向があった。次に、Ddx20 の発現が低下している複数の肝癌細胞株にDdx20 を過剰発現させ、細胞内情報伝達経路の活性化状態の変化を同定した。Ddx20 は細胞質と核に均一に分布し、核内に局在するDdx20 はある種の転写因子活性を転写因子の補因子とともに抑制的に働くという報告もあり、この検索により影響を及ぼしている細胞内情報伝達系の同定を行った。その結果、検索した中でDDX20はNF-kBの活性を定常状態では抑制していることが示された。引き続き、Ddx20 の発現による細胞機能の変化の解析をおこない、細胞内シグナル伝達への影響と並行して、Ddx20 の過剰発現細胞株においてコントロールと比較して、癌発生に寄与する表現型を呈するか検討した。具体的には細 胞増殖・抗アポトーシス効果・transformation 活性などを検討項目としたところ、DDX20のノックダウンではTRAILによるアポトーシス惹起に抵抗性を示した。この作用が肝癌惹起に寄与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りDDX20が関与する細胞内シグナル伝達系を同定し、さらに表現型としてDDX20ノックダウン細胞では抗アポトーシス作用があって、肝発癌に寄与する可能性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究をさらに進めて、DDX20によって影響が及ぼされるmicroRNA機能の同定・B型肝炎ウイルスによるDDX20の発現レベルに与える影響などを検討し、介入法の開発につなげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の結果をもとにして、来年度はDDX20のコンディショナルノックアウトマウスを作製し、in vitroで検討した結果をin vivoで確認する。特に これまでDDX20のノックアウトマウスは胎生致死であることが知られており、本研究計画内でコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析することは 生物学的にも意義があると思われる。
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