2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590967
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 太郎 金沢大学, 大学病院, 助教 (90377432)
|
Keywords | 肝細胞癌 |
Research Abstract |
肝細胞癌の細胞起源、発癌の鍵となる遺伝子異常の同定ならびに進行肝細胞癌に対する新規治療法開発を目指し、本研究では肝硬変組織における肝前駆細胞と肝細胞ならびに肝細胞癌における癌幹細胞を分離、次世代シークエンサーを用いた遺伝子異常の解析およびマイクロアレイを用いた転写制御異常の解析を網羅的に行うことを目的としている。本年度においては、昨年度にMACSにより分離精製した肝細胞癌における癌幹細胞および非癌幹細胞からDNA, RNAを抽出しクオリティを確認した。また、非癌部の肝硬変組織からDNA, RNAを、末梢血単核球からはDNAを抽出しgerm line由来のDNAとした。肝癌2症例につきコラゲナーゼ処理を行い抗EpCAM抗体、抗CD133抗体を用いて分離、5 microgramのDNA、RNAが得られreal-time RT-PCR法を用いて分離は十分であると評価した。また、癌幹細胞の高い腫瘍形成能力の違いはNOD/SCIDマウス皮下移植モデルで確認した。そこでIllumina HiSeq2000およびAgilent Sure Select Target Enrichment Systemを用いてWhole exome解析を行い、各サンプルで60-80程度のframeshift mutation、missense/nonsense mutation を同定した。その中にはTP53やARID1A/2のようなすでに報告された遺伝子変異が含まれていたが、未知の遺伝子変異も多く含まれており、今後の機能解析の結果により癌幹細胞特異的な治療法確立への貢献が期待された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究ではヒト肝癌幹細胞および非癌部における肝幹細胞、肝細胞の遺伝子異常を解析、肝癌幹細胞の細胞起源と遺伝子異常の蓄積過程を推定し、さらに同定された癌幹細胞における遺伝子異常、転写制御異常が癌細胞形質に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために、本年度は肝細胞癌患者の末梢血単核球,背景肝組織における幹細胞および肝細胞,肝細胞癌組織における癌幹細胞を分離精製した後にDNA, RNAを抽出、DNAについては全遺伝子のexon領域における遺伝子変異や欠失挿入を次世代シークエンサーで解析、RNAについてはマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、ゲノムにおける遺伝子異常の頻度および転写制御異常を肝癌幹細胞と非癌幹細胞で比較した。本年度の次世代シークエンスの結果から癌幹細胞と非癌幹細胞ともに多くの共通した遺伝子変異が認められることを同定、当初の計画通りに癌における遺伝子変異を網羅的に解析することに100%成功した。さらに、一部の変異は癌幹細胞特異的な変異である可能性が示唆された。次年度には同定された癌幹細胞特異的な遺伝子変異のvalidationを多数例で行う予定であり、本年度に予定していた検討項目については100%達成できたものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以後については、本年度に同定された癌幹細胞、非癌幹細胞および末梢血単核球の全エクソンシークエンスデータをサンガー法によりvalidationを行う。さらに、RNAについてはAffymetrix社のGeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いて解析済であり、エクソーム情報と比較、肝癌幹細胞に特異的な遺伝子群の同定、およびEpCAM陽性肝癌幹細胞の遺伝子発現パターンの同定を試みる。また同定された遺伝子変異やゲノムの挿入欠失、遺伝子発現の変動については60例の肝癌サンプルを用いてキャピラリーシークエンサー、ゲノムDNA-PCR、TaqMan RT-PCRなどで確認する。さらに、同定された遺伝子異常が同遺伝子発現や蛋白発現、その下流のシグナル伝達系に与える影響について、Western blotting, 免疫組織化学、蛍光免疫染色などを用いて評価する。特に、同定された遺伝子異常が特定のシグナル伝達系の活性化や不活化に関与している可能性が認められた場合には、そのシグナル伝達系を阻害するshRNAを肝がん培養細胞株を用いてレンチウイルスにより導入、もしくはsmall moleculeを用いて阻害し、癌幹細胞に与える影響につき評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には同定されたゲノム以上を確認するためのApplied Byosystemsキャピラリーシークエンス試薬およびシークエンスプローブの作成、DNA-PCRによるゲノムの挿入、欠失の確認に必要な酵素やプローブの作成を予定している。また、癌幹細胞性を確認するための免疫不全マウスへの移植に必要なNOD/SCIDマウスの購入、細胞への遺伝子導入試薬および得られた研究成果を国内外で発表するための旅費を計上している。効率的な予算執行により端数が生じ733円が未使用額となった。
|
-
-
-
[Presentation] The evolution of diverse cancer stem cells in human liver cancer.2012
Author(s)
Yamashita T, Honda M, Nakamoto Y, Nio K, Hara Y, Zeng SS, Hayashi T, Yamashita T, Mizukoshi E, Ikeda H, Zen Y, Takamura H, Colombo F, Porretti L, Wang XW, and Kaneko S.
Organizer
American Association of Study of Liver Diseases Annual Meeting
Place of Presentation
Hynes Convention Center (U.S.A.)
Year and Date
20121109-20121112
-
-
[Presentation] 肝細胞癌の分子分類2012
Author(s)
山下太郎、本多政夫、金子周一
Organizer
日本肝癌研究会
Place of Presentation
石川県立音楽堂(石川県)
Year and Date
20120720-20120721
Invited
-